5月 石川剛生
 「リーダーとは何か」「リーダーの素質とは何か」、この問いは、私が役人時代に上司、官邸の行動をみながら無意識に考えてきた問いであり、また、留学時代には、企業のトップの成功例、失敗例を学びながら、意識的に考えてきたテーマである。しかしながら、いまだその問いに対する答えは見えない。

 今回のセミナーを通じて改めてこのテーマについて考えてみた結果、自分の中での現時点での考えは以下のとおりまとめることができる。つまり、リーダーシップには2種類ある。一つは、個人レベルで日々の生活の中から要求される事柄であり、もう一方は、危機や選択の時期に要求される素質である。

 前者であるが、廣瀬先生がおっしゃっていたことを考えてみるに、リーダーとは別に気取ったことを発言・実現する人ではなく、規模の大小はあれ、自分の所属する社会を少しでも自分の力で変えようと自発的に思う人のことを指すのだと思う。少しでも自分の職場の雰囲気をよくしよう、という素朴な「気持ち」「意欲」を持ち、気持ちだけではなく、それを実践に移せる人だと思う。「ありがとう」「おはよう」の例をとってみると、最初は勇気がいるし、なかなか即効性があるとは限らないが、その必要性を心から信じている人が、継続して実践することで、周囲を少しずつ影響し、変化をもたらす、これこそがリーダーシップの原点であると思う。

 一方、後者であるが、これは杉浦先生が紹介いただいた例であるが、そごうを再建させた和田社長の心構えである「逃げるな」「ごまかすな」「あきらめるな」を考えてみるに、困難に直面した際、誰もが責任逃れをし、人への責任の押し付けをしたくなる時に、その場に踏みとどまり、関係者一人一人を問題の解決という唯一のゴールに向かって導く強い「意志」「意欲」を持っている人のことであると思う。

 結局のところ、リーダーシップの原点は、「意志」「意欲」そしてそれを実践する「(継続)力」の掛け合わせなのではないかと思う。セミナーの冒頭で杉浦先生がおっしゃっていた「意志」の話に戻るような気がする。これこそが、政治家は勿論のこと、どのような社会においても一個人として心がけないといけないことであると改めて感じた次第である。 <