マスコミ報道に対して私たちはどうあるべきか
菱田有修
 志村編集局次長の講演は、ソフトな口調の中にもスパイスの利いた評論が興味深いものであった。なかでも質疑応答の中で次のようなやりとりがあった。マスコミは、その影響力で社会を操っているのではないかという問いに対して、意図的な記事は一切無く、社会を動かそうとする考えは、おこがましいという回答だった。マスコミ報道に対して不信感を抱いているというやりとりであった。

  マスコミ報道には、「事実を正確に伝える」という表があれば、商売上「注目されたい」という裏もあるだろう。また、必ずしも事実=真実ではない。だからこそ、マスコミなどの情報を発信する側(あちら側)ではなく、国民や視聴者などの情報を受ける側(こちら側)がその情報に対してどうあるべきかに着目してみたい。

  そもそも情報の源泉は、テレビ・ラジオ・新聞雑誌などのメディアばかりでない。最近注目されているWeb2.0を活用したブログやSNSなどがある。一個人でも情報が発信できるばかりでなく、その影響力は大きくなってきている。まさに情報は、氾濫する一方である。経済評論家の三原淳雄氏は、情報には次のような「4つのI」があり、タダの情報は信用せず、その道のプロの人脈(医者・弁護士等)の必要性を訴えている※。

(1)世の中に溢れている単なる情報の「インフォメーション(Information)」
(2)その情報を読み解く「インタープリテーション(Interpretation)」
(3)自分に役立つものを取り入れる「インテグレーション(Integration)」
(4)最終的な行動を起こすための「インテリジェンス(Intelligence)」

 また、久間防衛庁長官は、4月の講演のなかで情報に関し同じようなことを仰っていたことを思い出す。情報収集を1つに限定しないこと。常に疑問を持つこと。常に一歩先を読むこと。小さな出来事・記事に注意することである。安全保障に精通している久間氏の慎重さが伺える。

 両氏に共通することは、情報に対する自己管理と自己責任である。とかく熱しやすく冷めやすい日本人は、@のインフォメーションにすぐに飛びつく傾向があり、他の「I」を知らないか、あるいは、実行できていない。メール問題で辞職に追い込まれた議員がいい例ではなかろうか。この件を一議員の問題として捉えるのではなく、私たち一人一人が教訓にし、今後AからCの能力を身につけていく必要があると感じる。

 情報のウラをとり、正確かつ冷静な状況判断をし、実行する。すなわち、あちら側の報道に対して、こちら側が操られず賢くなるということだ。そうすれば、あちら側は目先だけの興味本位な報道もできなくなるであろう。あちら側の報道のあり方に対する批判もあるが、こちら側が意識改革した社会を作り出すことが先決と考える。

【参考文献】
梅田望夫著「ウェブ進化論」ちまく新書、2006年。
http://www.mihara-atsuo.com/tokai/back/20060331.html