| 8月課題レポート 「新たな少子化対策の推進」から子育て支援策を考える 6期生 杉本明子 |
| 私は私立の大学病院で働く看護師であるが,この看護という仕事は労働条件は大変過酷であり,残念であるが専門職として社会的コンセンサスは得られていないと感じている。看護職は自律した独自の判断で患者さんの療養上の世話がおこなえる専門職であるが,医師の補助的立場でしか社会に認識されていない,そして誇りをなくしてしまうそのことが女性の一生涯の仕事として看護職の継続を困難にし,女性の機能である結婚,出産,子育てをも障害していることを知っていただきたいと思う。 看護管理者として,約700名の看護者を組織してきたが,少子高齢社会の最前線で,子どもを育てながら看護師として安心して業務に専念し,働きつづけるためには院内保育所を設置し,職場環境を整備することが絶対的条件であると考えて,保育事業への取り組みとして実態調査を実施した。調査は病院全職員を対象に1200部の質問紙を配布し,62%の有効回答率が得られた。調査結果のうち看護職については,現在の子育ての悩みとして,「病気になった時に預ける所がない」,「勤務の都合にあった保育所がない」が目立ち,結局「保育者がいなくて3交替ができない」,「子どもの保育のことを考えると子どもをつくる気になれない」といった現代社会の問題を反映したものが多かった。特に看護職は入院して療養する患者さんのために3交代で24時間のチーム医療を展開しているから,これに対応して,24時間保育,病児保育の保障が,看護サービスの向上を実現するためには絶対に必要であると考えられた。 この結果を受けて,通常の院内保育所だけではなく,小児科との協力で病児保育が実現されれば,当院職員だけでなく近隣に住む職業婦人にとっても保育所の選択肢が広がり,地域貢献にもなりうると夢はひろがった。当院看護部においては,年間平均20名程度の妊娠・出産のための休職者が存在し,各部署では,これら休職者も人員であり補充者の要求は認められていない。看護師たちから「保育所さえあれば働けるのに」という声がたびたび聞かれていた。そして,やっと産休,育児休業を終えて出勤してきても,子どもの病気や育児トラブルのために退職をせざるを得ないことがよくあったのである。さらに,2005年4月より育児介護休業法の改正があり,託児所等の確保が出来ない場合は1年の休暇が1年6ヶ月に延長できるようになった。以後この制度を利用する看護職員の増加がますます現場を人員不足にしているのが現状である。このような勤務者,職場仲間,看護管理者の悩みを解決し,出産後も働ける職場,子どものことを心配せず,心置きなく業務に専念できる環境を造る必要がある。また、医療技術・看護は日進月歩で進んでおり,1年6ヶ月の育児休暇によるブランクは、その看護者の看護の質にどのような影響をもたらすか,またどのようなリスクを生むか予測も難しいところである。このような理由からも職場が病院であり,職業が看護である「強み」をいかして,単純な職場保育所ではなく,病児保育機能をあわせもつ保育事業を訴え,大学の事業として取り組むように理事に約束を取り付けることができたのである。 猪口特命担当大臣は,女性の有労率が高く,労働力が高いと合計特殊出生率は回復するといっておられたが,看護職がモデルとしてこれを示していき,広く社会に看護職に対する理解と協力を訴えていきたいと思っている。 |