| 猪口大臣の「誰かのために役に立ちたい」という思いとは 菱田有修 |
| 猪口大臣は、政治家になる以前、国連等で軍縮に携わってきた。その後、衆議院議員に当選し少子化担当大臣に任命されことは、周知の通りである。大臣が軍備拡張のなかで兵器、装備などの削減する軍縮に大きな貢献をされてきたことと人口減少する日本が直面している少子化の問題との間には、共通点があろう。それは、「命の尊さ」と思う。 大臣は、質疑応答のなかで次のようにおっしゃっていた。「私は、政治家になるまでは自分がやりたいことをしてきた。しかし、政治家になろうと志したときは誰かのために役に立ちたいと思っている。」誰かのためにという言葉は、大臣の確信を大いに感じた。軍縮と少子化対策という全く畑違いに見えるが、「命の尊さ」という本質で共通点が見いだされる。また、軍備拡張で尊い命が失われてはならないという信念で困難な問題に取り組んできた背景があったからこそ、総理は国務大臣に任命したのであろう。 その少子化の要因として様々な点が想定されている。ここではその要因一つに挙げられる家族の絆に着目したい。内閣府は、平成16年版少子化社会白書において、個人が自由や気楽さを望むあまり、家庭を築くことや生命を継承していくことの大切さへの意識が失われつつあるのではないかと指摘している※1。最近の子が親を、あるいは、親が子を殺す悲しい事件や児童虐待が多発している世の中も少子化の要因とされている家族の絆が希薄化しているのではなかろうか。絆がしっかりとしていれば、まず守るべきは家族であるはずなのに。だから、大臣の言った「誰かのために」とは、国のためにであったり、家族のためにであったりと解釈できる。 その家族の絆が目に見える形で現れている一番心打たれるのは、親が子に子守歌や童謡を歌い聞かせている姿であろう。子守歌や童謡は、日本らしいリズムとメロディで文化として受け継がれてきた。親が子に思いを託し聞かせるには、一番良い方法だ。しかし、子守歌を知らない、歌えない人が多いようである。継承されてきた文化を閉ざさない「絆の継承」も同時に考えるべきである。 少子化対策として具体的政策に注目されやすいが、そうした目先にとらわれることなく家族の絆が形成される世の中にするには、どうあるべきかという根本的なことを忘れてはいけない。安倍内閣官房長官は、子育てにかかるお金の損得ではなく、家族の素晴らしさを教えていく大切さを訴えている※2 。 安倍長官の家族の大切さという価値観と猪口大臣の誰かのために役に立ちたいという思いには、少子化の克服だけでなく、これからの日本にも決して失ってはいけないことと思う。 【参考文献】 渡部昇一著『この国の「義」を思う』致知出版社 参議院議員 山谷えり子 ホームページ http://www.yamatani-eriko.com/message/index.html ※1平成16年版 少子化社会白書(概要)http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2004/html-g/html/gg122000.html ※2安倍晋三著『美しい国へ』、文春新書、217頁。 |