| 題 :骨太は経済主義主導で:竹中平蔵氏の講演より 氏名:松本 卓久 |
| ■変質した2006年の骨太の方針 7月7日政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」を閣議決定しました。これは2001年より毎年策定されてきた方針と同じように構造改革の基本的な考え、方向性とその具体案を示すものとされています。しかし首相と共に5年間この骨太に関わってきた竹中氏は講義の中でその成果を認めながらも当初とは異なった物になっている事実も指摘されていました。 昨年10月、経済財政諮問会議の担当大臣が竹中氏から与謝野金融・経済担当相に代わりました。これが今回の柱でもある「歳出・歳入一体改革」を取りまとめる際に大きな議論を引き起こしたと思われます。特に6月22日の会合では平成23年以降の財政再建のあり方を巡って激しく衝突されたとも言われています※1。 ■官邸主導から党と官僚主導へ 竹中氏は講演で「昨年まではなるべく多くの人に読んでもらうように薄く作ることを心がけたが今年は分厚い」という指摘をされました。これはとりもなおさず今回の物が「読んでもらわなくても構わない」という意味も含んでいるとも考えられます。実際に論調としてはしっかりしたものに出来上がっている一方で、具体性に乏しく、気軽に読めるような体裁にはなっていないように思われます。 また、今回は諮問会議でも「財政主義」が主流を占めたといわれています。竹中氏はインタビューの中で「今回の歳出・歳入一体改革にしても当初は財務省べったり。とにかく大幅増税したいという財務省の意思がスケスケのペーパーが民間議員から出てきた。それに対して、私は、それはおかしい、ということを言い続けた。そうしたら結局、諮問会議では決められなくて、その議論が党に丸投げされた※2」と明言されています。 ■財政主義より経済主義に重点を これまで5年間の骨太の方針が多くの毀誉褒貶があったにも関わらず日本が復活する一因になった事は間違いないと思われます。骨太の方針により「『官邸主導』のオープンな決定プロセスが、公共事業費や地方向け補助金の削減を実現させた※3」という実績がある事は明白であり、「不良債権処理や国債発行30兆円枠などの成果を出した※4」という事実も見落とせないでしょう。 総裁選に絡んで消費税の増税に関する論調が多くなってきました。しかし現状で「財政主義」を取り増税を優先する事は今後の経済の成長を阻害する恐れがあります。そしてそれによる減収を補う為にさらに増税と言う「負のスパイラル」に陥ってしまっては、時には党を割るような勢いで推し進めてきた構造改革の成果が国民生活に反映されなくなると思われます。それ故、次期政権も竹中氏が用いた「経済主義」を取るべきだと思います。「誰がなろうとも、この『骨太方針2006』に基づいて、財政再建と経済成長を両立させることをもって、2011年の基礎的財政収支の黒字化を達成する※5」という中川政調会長の言葉が次期政権の大きな役目を現していると思われます。 ※1「内政の司令塔を担ってきた政府の経済財政諮問会議。国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化の目標としている平成23年以降の財政再建のあり方をめぐり、ライバル同士の二人が激しく衝突した」2006年7月8日産経新聞
※2「竹中平蔵が語る『経済諮問会議はホッチキス』」AERA2006年7月31日号、朝日新聞 ※3 「骨太の方針」決定:官邸主導 最後に揺らぐ毎日新聞2006年7月14日 ※4 同上 ※5 中川秀直 トゥデイズ アイhttp://www.nakagawahidenao.jp/today/0607/08.htm |