題  死刑制度廃止の是非について
氏名  中村 健
 死刑制度の廃止の是非について、以下主な論点を挙げて考えていきたい。

 (1)誤審・冤罪の問題・・・裁判制度を考えるなら、確かに誤審の可能性を完全に排除することはできない。死刑の場合は事後の救済が不可能なことから廃止すべきだとする主張があるが、誤審の恐れは死刑に限ったことでなく、これだけをもって死刑制度を否定するのは近代の裁判制度を否定することであり妥当ではない。日本で再審によって死刑囚が無罪判決を得た事例は4件あるが、死刑判決が下された事件で執行後に真犯人が逮捕された事例はない。よって、(1)の論点より死刑制度を廃止すべきだとする主張には強い説得力はないと考える。

 (2)抑止効果・・・死刑存続派の主張であり、これには犯罪抑止効果と再犯抑止効果がある。しかし、人が犯罪を起こす際には理性的な判断ができない場合が多く、また死刑を廃止した国において廃止後に凶悪犯罪の発生率が増加したという証明はされていない。よって、死刑にすればその者が再犯を起こすことはないという再犯抑止効果はあるにせよ、一般抑止効果には疑問を持たざるを得ず、説得力にやや欠けると考える。

 (3)国内世論及び世界的な流れ・・・政府が2004年に行った世論調査によれば、死刑は廃止すべきだという人の割合は6%、やむを得ないという人の割合は81%、一概に言えないという人の割合は13%であった。民主主義的観点から死刑制度を存続させるべきだとする意見には一定の説得力があるように思う。

  一方、世界的に見れば死刑制度を廃止するのが流れである。アムネスティ・インターナショナルによれば、122カ国が死刑を法律上または事実上廃止しており、74カ国が存置し適用している(2006年3月1日現在)。平均して年に2カ国以上が廃止しているのに対し、死刑を再導入する国の数は圧倒的に少ないとのことである。しかし、廃止国の多くはキリスト教圏であり、イスラム教圏、仏教圏では死刑が存続されている国の方が圧倒的に多い。死刑制度の廃止の是非については、宗教や文化の違いというものを無視して考えるべきではない。よって、死刑は存続させるべきだとする主張の方が説得力を持つように思う。

 (4)被害者・遺族の感情・・・遺族の悲しみや苦しみは、犯人が死刑になったからといって和らぐものではないかもしれない。しかし、20年前後で犯人が社会復帰してきた場合の遺族の苦しみや痛みは計り知れないものではないだろうか。刑罰は報復感情を慰撫するためだけにあるのではないにしても、彼らの意見を反映させる機会を奪うことは妥当ではないと考える。

  以上より、死刑は廃止すべきだとする主張よりも存続させるべきだとする主張の方に説得力があり、私は死刑制度は存続させるべきだと考える。