題名:政治家のスピーチに学ぶ
氏名:石井航
 これまでに3回の講義を終えた。毎回笑いあり、涙ありの講演を聞いた後は、講師の政策・意見に納得すると共に、彼らのファンになってしまっている自分がいる。翻って某新興企業の営業マンとしてご当地・名古屋で絶大な基盤を誇る老舗会社に戦いを挑む自分はどうかというと、門前払いとお涙ほどの発注で冷や飯を食わされ続けている。赴任当初「オレは名古屋のドン・キホーテ。風車すなわちメガ会社、何するものぞ」と息巻いていた頃が懐かしい・・・・。しかし、嘆いてばかりいても進歩はない。本レポートでは、自分を売り込む営業のプロたる講師の方々から学べるポイントを考え、整理してみたい。

 私はお金に係る交渉が多い仕事柄、言った言わないのトラブルを避けるために話の内容をメモする習慣がある。もちろん、政治大学院の講演も毎回、約2000字のメモをとっている。そのメモを読み返してみると、講師の方々の話す内容に一定の傾向があることが分かった。特に拉致問題や小さな政府の議論など、最近話題となっているテーマに当てはまるのだが、自分の主張に議員である自分しか体験できないエピソード(官僚が〜〜と言った、私が党幹部に〜〜と言った等)を加えた話が大半を占めている。そのエピソードがリアルかつユーモラスなため、会場は笑いに包まれ、講師の方の主張が説得力をもって聴衆に伝わる。逢沢一郎先生の講演で言えば、「外務副大臣として羽田空港で蓮池さん、地村さんの子息を機内に乗り込み 日本国民であることを確認した。そのとき日本の同年代の子供と比較して、とても背が低い、華奢だなという印象を受けた。その瞬間、北朝鮮で生きることの厳しさを思い知った」というエピソードは単純に「拉致はいけない」というよりも、はるかに説得力がある。主張そのものは日経新聞や文芸春秋等に書かれているありふれたものであり、講師の方独特の主張はほとんどない。私なぞは「聴衆が聞いたこともないようなトリッキーな意見を言い耳目をひきつけたい」などと考えてしまうが、説得力を左右するのは、主張の中身よりも、エピソードなのである。具体的にエピソードを話すことはどんな効果をもたらすのだろうか。私は次の4つであると考える。

(1)「次はどうなるのだろう」と興味を抱かせる。
(2)意見を直接述べるわけではないので、演説のペースを変えることができる。
(3)実体験を通し学んだことを伝えるので、説教くさくなく、受け入れやすい。
(4)講演者と聴衆の共有体験となり、一体感が生まれる。


 政治大学院でも、今後はプレゼンテーションやグループ政策研究を通じて意見を発表する機会が増える。また、毎回の講義の後の質問でも、具体的体験に基づいた質問であれば他の受講生も興味を持って講師の応答に耳を傾けるはずだ。論点の奇抜さよりもエピソードを添えることを肝に銘じ、これからの活動に注力していきたい。

参考文献:Using Stories and Humor  Joana SLAN    ALLYAN AND BACON