題 :小さな政府と格差社会
氏名:松本 卓久

■「小泉改革による格差社会」という論調
「 改革の本番はこれからです」と中川政務調査会長は小泉現政権後の改革遂行を強調されました。ところが最近「ジニ係数や生活保護世帯増加、大阪のタクシー過当競争、地域、世代間格差、教育格差が小泉改革の『影』(1)」と改革が「負の産物」として格差社会を生み出しているような論調が目立ちます。この背景には「改革が進行しバブル後遺症から脱却した暁には、景気も回復し自分たちはさらなる発展を享受する事ができる」という国民の期待が、実際には「格差社会」を実感する事になり裏切られた気分になったという風潮があるからだと思います。

 特に所得格差とそれに大きく影響される「教育を受ける機会」の不平等現象。これ らが顕著になるに従い、国民は格差問題を身近な事柄として捉えるようになりました。「公立の小中学校で文房具代や給食費などの就学援助を受ける児童・生徒は、04年度には全国で約134万人に達し、4年前と比べ4割近く増えた(2)」というデータからも分かるように首都圏を中心に公立学校がなかなか本来の教育機関の役目を果たせない現状に於いては憲法第26条に保障されている「教育を受ける権利」すら危うくなりそうです。そしてこの現象が、「小さな政府」の実現により一層悪化の道を辿る恐れがあるとするのが大方のマスコミの論調のようです。

■大きな政府の下での「人並みの生活」が崩壊

 「日本は世界で一番成功した社会主義国」とも言われてきました。中央集権の官僚統制のみならず生産と配分の手段・方法を、社会の成員全体で共有するという「一億総中流」とはまさに「理想的な社会主義社会」だったのでしょう。しかしそれを支える為には「大きな政府」が必要でした。しかし少子高齢化社会に突入し税収の確保が今まで以上に困難になる事が予想される現状を鑑みるともはや「大きな政府」を維持する事は不可能だと思われます。

 また実際に社会格差が顕著になったのはバブル崩壊後だと思われます。民間企業がリストラで人員整理をさせ、正規雇用者を削減し、派遣やパートに切り替えるなどの「体質改善」を進めてきた事が根幹にあると思います。しかし、これが最近の景気回復の要因の一つになっている事も見落としてはならないと思います。

格差是正は富の創造から
 中川議員が引用されたチャーチルの言葉「社会主義は富める者を引きずりおろすが、自由主義は貧しき者を引き上げる。」これはまさに労働組合を主体に民主党まで巻き込んだ「反格差社会キャンペーン」の事だと思います。格差社会になってきたという事は、日本が社会主義国から資本主義国に徐々に移行してきた証だと思います。資本主義国として人口減少の中でも、生産性を上げるなど様々な努力で国際競争に負けない為には、やはり「小さな政府」にして民間や地方の活力を高め、富を創造する構造へと造り変える必要があります。

 「バブル景気」という幻想の時代を経てきた国民にとっては現在は耐え難いと思います。しかし、本来の「正直で真面目に労働する」という姿に立ち返り努力すれば、必ず将来において今の政策は評価されると思います。


(1)「【検証 小泉改革】格差社会、気分に影 機会平等、競争…光は?」産経新聞 2006年3月21日
(2)「教育の機会、所得次第 格差社会を乗り切る」朝日新聞朝刊2006年5月21日