| 国会議員の力量と格差社会に思う 吉田 憲子 |
| 小泉政権を総括する今国会で、政府と野党が激しくやり合う場となるはずだった行政改革推進法案の審議中に、スポットライトを浴びたい経験不足の政治家が調子に乗って恥をさらした「偽メール」事件は、民主党にダメージを与えたのみでなく、国の予算を十分審議できないという深刻な問題であった。 国会議員という職業に就くための訓練を受けず、未熟な政治家が目立ち、これは民主党に限ったことではない。長年かけて構築された日本の政党政治システム下では、厳しい訓練と豊富な経験を積み重ねて初めて国会議員となった。どうすれば反対勢力を結集できるか、その技術を身につけていた。それが今崩壊されつつある。以前の政党政治が最良であるという訳ではなく、個々人の議員自らが力量を高めていただきたいものである。 小泉首相は、日本の政治の慣習の改善、政策決定システムの改良に貢献し、派閥による閣僚人事に背を向け、政党政治の日本型モデルを改善してきたことは評価するに値するが、しかし、富裕層優遇による「持てる者」はより富み、「持たざる者」はより貧しいという二極分化が進み、例えば、将来を背負う子どもたちが、親の経済力によって塾には行けず、私立中学に行きたくても行けず、6年生のテストの結果が塾に行く子と行けない子では26点の差があるのである。また、東大生の親の収入が1,000万円以上が89.8%で、平均年収が1,114万円(NHKクローズアップ現代より)であり、今日景気回復したとはいえ就学援助者が急増しているのが現実である。 今、問題となっている教育基本法での「愛国心」であるが、政治家が知識と見識と品格を高め、国民が少しでも暮らしやすい世になれば、愛国心は自然と生まれ広がるものであり、強い者が一層強くなって跋扈するような国であってはならないと思うのである。 日本は民族や宗教での対立はほとんどなく、階級意識もさほど強くない我が国では小選挙区制は適切ではない。小さな政党が消滅し、二大政党は過半数の支持を得る為に、党首の「格好良さ」に左右される可能性も大きく、個性の強い政治家が消えて、アマチュアが増加する危険性さえ窺がえ、今の小選挙区制の抜本改革ができないのであれば、せめて小選挙区で落選した者が比例代表で復活できる重複制度はなくすべきである。 また、政治家が政策を官僚に依存ばかりせず、政治家自らが政策を創れる政治家に成長してほしい。確かに官僚は優れた専門的知識を持ち、多岐の分野に渡る高度な専門的施策を展開せざるを得ないが、国民から選出された政治家が、「国民の代表」から構成される議会との関係の中で、行政を行うことが政治制度の本来の姿であり、国会議員が切磋琢磨しあって力量を高め、国民の期待に応えてほしいものである。 |