「道州制による効率的社会の実現に向けて」
下方 郷嗣

 昨今、道州制に関する話題が注目されている。本土を都道府県よりも大きな同州に再編し、効率的で小さな政府を目指そうという話である。国と地方が役割分担せず独自に公共財を管理してきた非効率な実態が明らかにされ、一元化した管理体制の実現が期待されている事が理由の一つである。その一方で、道州制は弱体化した地域の切捨て論だとの反対意見が根強い事も事実である。つまり、効率と採算を追求すれば島や山間部の過疎地域で暮らす人々へ支援が行き届かなくなる危険性があるのである。ただし、国が歳入の再分配によって地方に一定の財源を確保させるようなこれまでの政策に対しては、地方自治体に独立採算制を求める動機付けにならず悪平等である、との意見が都市部を中心に強い事も事実である。それでは、どのように両者のバランスを保つ事が望ましいのだろうか。

 現在の社会を道州制に移行した場合に、人口と会社の多くが大都市に一極集中している事が問題となる。つまり、大都市を持たない地方は十分量の所得税と法人税を得られず、経済的に自立できないからである。これらに対する解決策は土地の有効活用と人口再構成にある。製造業の国内回帰が進む現在、工業都市の建設需要が高まる事は必須である。産業が発展すれば人が集まり、地域の活性化へと結びつく。都市開発を積極的に行い、結果的に鉄道の誘致にまで成功したつくば学園都市は一つの成功例である。IT社会が実現した現在なら活動拠点の分散は実現可能であり、誘致される企業の側も輸送コスト低減やリスク分散の面でメリットが大きい。各地方には企業に対する期限付きの減税策や移転費用の補助など、独自の政策に基づいた誘致活動が望まれる。地方間の自由な政策競争を阻害しない為に、国から地方への大幅な権限委譲が必要である。

 その一方で、都心部の住民は森林資源や発電所、再処理工場、軍事基地、ごみ処分場など、自地域で処理できない問題の多くを地方が負担している問題を改めて認識する必要がある。道州制が実現されようと、これらに対するコストは負担しなければならない。それにはガソリン税を森林面積に応じて分配する、電源開発税を発電所の規模に応じて自治体に還元するなどの財政支援が望まれる。つまりは、国から地方への再分配は単純なばら撒き型ではなく、活動の実態に即した形とし、各地方に自助努力を促す仕組みとするべきである。

 道州制により経済的に独立した地域の集合体へと区域再編し、各自治体に自立を求める事が効率的で小さな政府を目指す上で必須である。その為には、地方が地域の発展と活性化に絶対的な責任を担うのに対し、国が営利活動では評価されない公益事業を活動の実態に応じた国税の分配によって支援する事が望ましい。道州制導入により、各地方でコスト競争を通じて行政の効率化がより加速される事を期待する。