| 実感する「痛み」 |
| 先月の30日私は勤めていた会社を突然解雇された。私だけでなく他の従業員も全員解雇された。会社が倒産したのである。私が勤務していたのは従業員20人程の小さな運送会社である。 近年運送業者(特に中小)は厳しい状態が続いている。平成14年の、国の自動車排ガス規制法(NOx・PM法)の改正により、排ガス基準が強化され、の基準に適合しないトラックは車検を受ける事が出来なくなった。すなわち廃車である。車両を適合車種に買い替える資金が会社にない場合は、減車となってしまう。減車になってしまえば、仕事があっても対応することが出来ず、売上は減少に転ずる。私のいた会社の例で言えば、40台近くあった車両が排ガス規制により10台近く減り他の減少分(売却等)も加え、倒産時にはかつての半分の20台ほどであった。また、この9月には4台が排ガス規制不適合により廃車する事が予定されていた。 この状況に追い討ちをかけたのが昨年来の原油の価格上昇に伴う燃料の高騰である。昨年の1月に1L当たり80円だった軽油の価格は今年の3月には1L93円(いずれも仕入れ値)となり、実に15%近く上昇している最近の報道でもわかるように、原油価格は上昇の一途を転じており、これからも上昇し続けると見られる。私がいた会社では、金額に直せば一月に約50万円ほど経費が上昇した。しかし、経費は上昇してたが、運賃が上がる事はなかった。 運賃が上がらなかった背景には小泉政権の「構造改革」による規制緩和で運送業者が増え、過当競争になった事があげられる。 運賃は据え置きで経費は上昇、かつ減車により仕事をこなせないのだから営業利益を圧迫するのは自明の理である。 私は仕事で同業者の会合に何度か出席したが、どの業者も「排ガス規制と燃料の高騰、運賃の据え置きは頭が痛い」と述べていた。またトラック協会の担当者に「何か良い経営改善策はないか」と聞いても、「規模を縮小してこじんまりとやるしかない」と言われた。このような状況が続く限り、中小の運送業者の倒産は益々続くだろう。 現在の状況を改善し、これ以上倒産を増やさないために、私は1つの提案をしたい。それは「暫定税率」の撤廃である。現在わが国では揮発油税(ガソリン税)・軽油引取税等の燃料課税に対して、本来の税率の約2倍の税率がかかっている。これが「暫定税率」である。軽油に関して言えば、1L当たり32.1円が税金であるが、本来の税額は1L当たり15円である。つまり今年の3月の軽油の価格は1L93円であったが、本来の税率で言えば1L75.9円である。実に19%も安くなる。1974年、道路整備の資金確保を目的としてこの暫定税率は設定されたが、制定以来30年以上、「暫定」であるにも関わらず見直される事はなく恒久的になりつつある。この「暫定税率」を撤廃する事によって燃料にかかる経費が少しでも軽減されれば、中小の運送業者の経営困難は少しでも解消で出来ると考える。 小泉総理は5年前、「痛みを伴う構造改革」と言うスローガンを掲げて登場した。政権発足当時この「痛み」とは何をさすのかと疑問に感じていたのだが、しかし、それが何で あるかは総理から国民に対して明確に示されることはなかった。今回の事態(倒産)を通じて私は「痛み」が何であるかを実感した。これは本当に「痛い」 。 |