「真の日中友好」
林 隆司
 12月講座で、ドノバン駐日アメリカ大使館主席公使が述べられた様に、国際社会として中国を無視する事は出来なくなっている。特にわが国は、隣国でありまた、同じアジアの一員であると言う観点においても、これからの中国との関係が重要になるのは疑いのない事実である。

 故搶ャ平氏が推し進めた、「改革開放路線」によって中国は驚異的な経済成長を遂げ、現在も年間12%超の成長が続いている。わが国の企業も製造業を中心に中国に多数進出し、その製造拠点を中国に移している。現在日本の市場では MADE IN CHINA の製品が溢れかえっており、中国は「日本の工場」
であるといっても過言ではない。この事から見て、経済的にはわが国と中国は不可分の関係であると言える。

  ドノバン氏も述べられた様に、わが国にとって最も重要な外交関係は日米関係であることは将来も揺ぎ無いが、中国との関係は同等の重要さを持ち得る。つまり、これからのわが国の外交は「日米関係」と言う大きな柱に加えて「日中関係」を中心とした「対アジア関係」をもう一本の柱とし、2本柱で推進することがわが国の国益に適うものである。

 一般的に中国とわが国の関係は「政冷経熱」であると言われている。これは読んで字の如く経済関係は活発であるが、政治は活発でないと言うことである。
「経熱」の部分については先ほど述べているので、「政冷」について述べたい。

 小泉前総理の靖国神社参拝問題により、わが国と中国の外交関係は冷え切っていた。しかし、昨年9月安倍総理が就任直後に中国を訪問した事により、両国の関係は一応改善の兆しを見せており、今年の春には中国の温家宝首相の来日も決定した。しかしこの「改善」は表面上の事だと私は思う。

 中国政府は事あるごとに「中日友好」とは言っているが、その反面学校では
偏向的な「反日教育」を行い、東シナ海のわが国の排他的経済水域(EEZ)での海洋調査などわが国の「主権侵害」など「反友好的態度」を取っている。かつて、田中角栄元総理の秘書だった早坂茂三氏が日米関係について「右手で握手、左手でジャブしあっている」関係と述べていたが、この言葉を借りるなら今の日中関係は「(中国が)顔は笑って、(ノーガード)の日本の顔面を両手で連打」している様なものだと思う。

 事の他、わが国の政府は中国に対しては「土下座外交」の言葉に象徴されるように「弱い」。過去の歴史問題に対する負い目のようなものがその背景としてあるのだろうが、現在の「主権侵害」と過去の歴史問題は全く別次元の話である。過去のことは過去の事と割り切って、政府には現在の中国による「反友好的行為」に対しては毅然とした態度を取り、対等な関係で真の意味での「日中友好」を築いて欲しい。