| 「成長の限界の現状」 林 隆司 |
| 11月講座の際、ローマクラブの「成長の限界」に関する言及があった。 「成長の限界」とは、世界の先進的な学者や、企業家によるシンクタンクである「ローマクラブ」に委託されたMIT工科大学のデニス・メドウズ氏を中心とするグループが作成した理論に、クラブとしての見解を付けて発表したレポートのことをいう。このレポートは国連が初めて開いた地球環境会議である「国連人間環境会議」の開催に合わせて1972年に発表された。 1972年といえば、日本も世界も高度経済成長の真っ只中であったが、このレポートでは、このまま無尽蔵に成長を続けると@天然資源の枯渇A環境汚染C途上国の人口増加による食糧問題C軍事的破壊などによって今後100年以内に、人類が制御不能な危機的な状態に陥る可能性があると警鐘を鳴らしている。このレポートによる指摘で環境問題に直結するのは「天然資源の枯渇」と「環境汚染」の2点である。 「環境汚染」については、このレポートの発表当時は「公害」による健康被害が深刻であったが、現在ではこれに加え、二酸化炭素など温室効果ガスの大量発生による地球温暖化が深刻な問題になっている。また、「天然資源の枯渇」については、石油を原料とするプラスチック等の大量消費が問題となっており、発表から30年以上が経った現在、このレポートの指摘は正しかったと言える。しかし、高度経済成長の中「成長」に水を差すこのレポートの発表はエコノミストを中心に否定的な意見が多かったという。しかし、現在このレポートに異を唱える人は皆無であろう。 「限界」を迎えない、いわゆる「持続可能な社会」の構築のためには「成長」を抑える必要がある。特に、アメリカや日本など、「成長」の恩恵に謳歌して来た、いわゆる先進国はこの実現に向けて努力をする必要があるだろう。 1997年に議決された「地球温暖化に関する京都議定書」はこれを具体化したものであると言える。この議定書では先進国を中心とする締結国に対し、1990年を基準に二酸化炭素の排出量を55%以上削減するように求めている。 しかし、アメリカはこの55%の条件に不満で、今だ批准していない。現在の地球環境問題はほとんど先進国によってもたらされたといっても過言ではない。これではわがままと言われても仕方がない。 冒頭で述べた「国連人間環境会議」のキャッチフレーズは「かけがえのない地球」であった。「このかけがえのない地球」を守るため、率先して地球を傷付けて来た先進諸国は行動し、努力する必要がある。 参考文献等 NPO法人 環境文明21ホームページ http://www.neting.or.jp/eco/kanbun/index.html |