「世話焼きおばさんの復活」
林 隆司
 10月講座の質疑応答の際、質問者から「出生率低下の前提である結婚率低下の対策として、公的な『結婚支援』を検討してはどうか」という質問があった。これに対し、講師の大村秀章代議士は「公的な結婚仲介の推進等の施策が考えられる」と述べられた。

 調べてみたところ、都道府県単位で「結婚支援」に取り組んでいる県があった。それは奈良県である。奈良県の合計特殊出生率は1.12(05年)であり、これは全国では2番目に低い。この状況を改善すべく奈良県では「新結婚ワクワクこどもすくすくPlan」を策定し、その一環で平成17年4月に設置された「なら出会いセンター(なら結婚応援団)」が結婚支援を行っている。このセンターは、公募委員、関係団体、学識経験者、行政関係者等で構成される「結婚ワクワクこどもすくすく県民会議」が運営している。

 センターのシステムはこうである、まず「応援団員」と呼ばれる企業・店舗・NPOなどが「出会いの場」となるイベント(料理教室)などを企画し、その情報をセンターに集約する。センターはイベントの情報をセンターに登録している男女に「メルマガ」の形で配信、後は各自が行きたいイベントに参加するといった具合である。イベントは昨年の7月から始まったのだが、最初の一年間で誕生したカップルはわずか6組であった。この振るわない結果に、2年目となる今年は新たな試みに挑戦し、9月には平城宮跡の清掃のボランティアと出会いのイベントを組み合わせた企画をしたところ、応募者は定員の5倍近くの210人に上ったという。最近センターでは、世界遺産である薬師寺での「合コン」を企画し、近畿地方のニュースで話題になった。奈良県のこの取り組みは、公的な「出会い支援」である。先述したように一年目は6組と振るわなかったが、結果ではなく公的機関がこのような取り組みをした点に意義があると思う。全国的にこの様な取り組みが広がればと思う。

 かつては、どこの町内にも世話好きのおばさんがいて、近所に年頃の人がいると、お見合い話などを持って来てくれ、「出会い支援」をしてくれたものだった。しかし、社会が近代化するのに従い地域のコミュニティーが崩壊し、昔ながらの「ご近所付き合い」が希薄になりこのようなおばさんが減っていった。奈良県のように、行政がかつての「世話焼きおばさん」の役割を果たすのも、公的な「結婚支援」の形ではないだろうか。

参考文献
※ GOO産経新聞ニュース(平成18年10月13日)
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/e20061013003.html
※ 奈良県こども家庭課ホームページhttp://www.pref.nara.jp/kodomo/kenminkaigi/
※ 奈良出会いセンターホームページ
http://www.naradeai.pref.nara.jp/about.html