「コミュニケーション能力の低下」
佐治 圭子

 私たちを取り巻く環境の急速な変化(少子化・核家族化・情報化社会)のなかで、他者とのコミュニケーションを成立させることは大変難しくなった。人は、相互に情報、意見、感情などを伝達して、社会的関係を形成している。それは、対話による言語的手段、また、非言語的手段よるコミュニケーション行動によるものである。複雑な社会環境で、他者とのコミュニケーションを形成し、維持発展させるにはどうすればよいのだろうか。

 確かに、人間は言葉を獲得し、様々な経験を積み重ね、能力や行動の自由を拡大して成長していく。しかし、核家族化や情報化社会は、人間関係を希薄化させ、家族や学校・職場という集団・集合のなかで、自分の弱さや能力を知ったとき、他者との関係を維持出来なくなることがある。
最近、感じることは「挨拶」が出来ない人が多い。当たり前のことさえ出来なくなっているのだ。電車やバスで席を譲っても「有り難う」と言える人が少ない。ドアを開けてあげても、知らぬ顔のサラリーマン。情けない社会になってしまった。ストレッサー(ストレスを引き起こす様々な要因)の存在が原因であろうか。フラストレーション事態が長く続いたり、解消される見通しが立たない状況では、しばしば適応性を失った行動が現れたりする。意欲、態度の向上のために、廣瀬先生のコーチング、あるいはカウンセリングが重要となる。

 コーチングとカウンセリングの共通点と相違点を把握し、その個人の問題の本質をつかんでアプローチしなければならない。コーチングはティーチングとも違い、双方向にコミュニケーションを成立させることである。クライアントがすでに持っているスキル、生産性を高め、クライアント自らが考え行動することで気付かせ、未来に向かって、目標達成のためサポートすることである。カウンセリングは、クライアントの、現在の問題や葛藤を、過去にさかのぼり、心理的な資源を活性化するために自己表現と自己理解を重視し、解決する力を取り戻すように援助することである。共に、積極的傾聴と共感から、クライアント自らが答えを引き出す共同作業であり、こころの健康の向上、ライフスタイル改善ために有効である。

 以上、自分の力を発揮したいという内的要求は子どもだけでなく大人にもある。コミュニケーションスキルを体得することで、家族や学校、職場という集団・集合において、人間発達や関係改善がスムーズになり、自分が変わるための手がかりをつかむことが出来るであろう。人間は一人では生きられない。環境、集団、集合体のなかで、自分の大きさなどを多面的に実感しつつ、他者のこころを感じることで、コミュニケーション能力を向上出来ると考える。