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「ユカギルマンモスの涙・・・・。」 |
| “大博打が当たった。” 俗っぽく、実にいやらしい言い方であるが、閉幕をまぢかに控えた「愛・地球博」の大盛況ぶりに、長年にわたる万博開催の意見対立を傍観し、成り行きを疑心暗鬼で見守っていた一県民としての、これが率直な感想である。東海三県に与えるその経済効果は、一兆円とも二兆円とも言われているが、この万博が“当たった”最大の要因は、イベント企画力の集大成にあるのではないかと考える。巨額の経費の投入を半年という限定された期間のうちに回収するためには、多くの来場者を呼び込まねばならない。来場者がその内容に満足できれば、話題となり更なる集客となるのだが、いちどに数十万人もの人間が来場し、来て良かったと思わせるためには、会場や企画に多種多様な要素を組み込むことが重要であった。グローバル・ループを介し、国内外の文化・芸術・芸能、科学技術、環境保護、交流、ショッピング、グルメなど、さまざまな人々の嗜好や感性に対応できる選択指を持たせる企画構成は、緻密であり、極めて優れていたといえるであろう。ハイグレードなアーティストの公演から身近に親しみの持てる内容まで、同じ入場料金で体感できるという割安感も予想入場者数を上回った要因であろう。 毎日を県下市町村のいずれかの日と定め、パフォーマンスに住民を参加させることは、地方自治体へ活気を与えるとともに、身内のステージを見るために万博へ行くということも、集客への戦略の一つであったのではないか。また、一市町村一国フレンドシップ事業においても、参加国応援の割当てが義務的ではないかと思われたものの、結果的に市民交流のきっかけとなり、特に子ども達にとっての国際化への第一歩となったのではと考える。 瀬戸会場を中心とした市民参画参加型の試みは、万博をより身近なものとし、さまざまな市民活動やNPO活動を実践しPRする場がもてたことや、新たなネットワークの構築により、確かな市民としての人間力の向上が図られたのではないだろうか。以外にもこのことが、この万博の最大の成果と多方面から評価がされている。 では、環境に対して、万博はどう影響を与えたのであろう。建築素材や、会場の整備・運営の全てに3Rシステム(リデュース・リユース・リサイクル)が徹底され、ごみの分別は来場者で9種類、参加者においては17種類とされていた。しかしながら、一例として、持ち込み禁止が徹底されたペットボトルは、会場内で何万本も販売され、その分だけの空容器は回収されたはずであるが、たとえリサイクルされたとしても、大量消費による大量の処理は、相当な環境への負荷と考えられる。 「愛・地球博」のテーマは、“自然の叡智”であり、最も重要なゲストは、『冷凍マンモス』ではないかと思う。シベリアの永久凍土が人類の大罪である地球の温暖化によって融け始め、永遠の眠りが保障されていたはずのマンモスが、約1万8000年の時空を超えて地表に現れたのである。発見地の名前をとって『ユカギルマンモス』と呼ばれ、牙の大きさなどから大人のオスと推定されている。 何百万という人間が彼を見るために並び、感嘆の声を上げては、そこを通り過ぎていった。 マンモスは泣いていた。 「私がここにいることが、何を意味しているのかをどれほどの人がわかってくれたのだろうか。」 つぶらな瞳から、氷の涙がこぼれ落ちるのが見えた。 |