| 「この国の21世紀における最重要課題とは」 加藤美幸 |
| この夏、イギリスで開催されたグレンイーグルズ・サミットでは、公共交通機関が爆発されるというテロが発生し、世界中に大きな衝撃を与えた。しかし、サミットは中止されることもなく、「アフリカ問題」等を協議し閉幕した。その直後の小泉首相の記者会見が現地からの衛星中継で、日本の深夜3時という時間帯ながら生放送された。記者質問の最後にオーストラリアの新聞記者が実に意外な質問をしたのに驚かされるとともに、起きていてよかったと思った。その男性記者はこう言った。 「日本は、どのくらいの時期に女性の首相が出てくるのであろうか。」 それに対して小泉首相は、 「外務大臣は誕生したことはあるが、首相はいつになるか。いつか、いずれは日本も女性の首相が誕生してもおかしくないと思っている。」 短くはあるが、率直な返答であったと感じた。しかしながら、サミットを終えたばかりのその場において、そのような質問を外国の男性のジャーナリストから一国のトップにされたということは、国際社会からみても、いかに日本の女性の地位が低いところにあるかということを非難されたというべきなのかもしれない。それは、数字の上でも明確に示される。国連開発計画(UNDP)の発表では、“長寿をまっとうできる健康的な生活”、“教育”、“人間らしい生活水準”の3点から算出した人間開発指数(HDI)が、日本は世界で9位であるのに、女性が政治及び経済活動に参加し意思決定に参加できるかどうかを示すジェンダーエンパワメント指数(GEM)は、38位にまで下がってしまうのである。不均衡であり、まさしく不平等である。 次期衆院選で小泉首相は、多くの能力の高い女性たちを擁立するとともに、比例ブロックの名簿 一位を女性とする方針を打ち出した。そのやり方には賛否両論あるが、しかしタイミングが良かったのか悪かったのか、内閣府男女共同参画局の推進政策のひとつであるポジティブアクション(積極的改善措置)の実行とも考えられる。 日本人の心のよりどころであり、美しく崇高な富士山が世界遺産になれないのは、いちじるしい環境破壊のせいと聞く。このところの日本へのバッシングや安保理への障害は、己自身には見えにくい部分を客観的に見つめなおす必要がある。戦後60年、先人達が築き上げてくれた日本は、まさに過渡期をむかえている。その混乱からより良い方向へと舵を取るには、冷静さと熱意を持ち、地面に張りついて咲く小さな花の目線と、宇宙から丸ごとの地球を見守る広い視野が必要である。 男女共同参画社会基本法の前文に掲げられている、「男女共同参画社会の実現を21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付ける」。このことを多くの人々が認識し推し進めることが、この渦巻く日本の今から一歩踏み出すことになると確信するものである。 この夏、私の住む街にひとつの条例が生まれた。『半田市男女共同参画推進条例』である。2年余りの時間をかけ市民と行政との協働によって、まさに産み出したものである。これをもとに、さまざまな分野にわたるきめ細やかな計画がされ施策が進められて行くのだが、断じて女性による女性のための取り組みではないことを広く正しく知ってもらわねばならない。女性・男性・子ども・高齢者・障がい者・外国人等、いかなる人の人権も等しく尊重され、なお責任をも分かち合い、その個性と能力を十分に発揮させることのできる社会、それは理想のようだが、そうではないのである。 現実へのスタートはすでに始まっている。 |