「小泉首相の靖国参拝と戦後60年」
佐治 圭子
 8月15日が近づくと毎年繰り返されるのが首相の靖国公式参拝問題である。今年は、中国の大規模反日デモや韓国との竹島領土問題などから、両国との関係は一層悪化している。そのような状況で、小泉首相の靖国公式参拝は、断行するべきであろうか。また、近隣諸国への配慮から、取りやめるべきであろうか。

 靖国神社とは、国のために尊い命をささげられた戦没者をお祭りする場、祈りの場であり、決して、政治・外交問題を持ち込む場ではない。誰もが、戦没者を追悼し、世界の平和を祈り、誓う場である。しかし、極東国際軍事裁判(東京裁判)において、A級戦犯となった14人「戦争犯罪者」を靖国神社への合祀を決めたことで、首相の公式参拝に対し、中国や韓国の猛反発を招いている。

 その背景に、近年、教科書の内容が改ざんされた結果、日本の若い世代が第2次世界大戦中に犯した中国に対する侵略戦争の罪について知ることが少なくなったと主張する中国や、韓国の主張する竹島領有権や従軍慰安婦問題など日本との歴史認識の相違と教科書問題がある。そのため、中韓両国は、首相の靖国参拝に対し、A級戦犯が合祀されていることを理由に「侵略戦争を正当化する行為」と反発しているのである。そのような状況を反映しているのか、国内の靖国参拝世論調査で『賛成31.7%反対59.4%(共同通信H17.6/20)賛成36%反対52%(朝日新聞H17.6/25.26)』とやめた方がいいと回答した人が過半数を超えた。このことからも、小泉首相の靖国公式参拝は棚上げしなければならない。小泉首相は、靖国公式参拝を内政干渉、「罪を憎んで人を憎まず」と繰り返しているが、わが国が、加害国であることを忘れているのではないだろうか。罪を憎んで人を憎まずという表現は被害者が語る言葉である。

 また、日本は戦後60年、サンフランシスコ平和条約を順守し、各国との協定によって定められた賠償・準賠償を行ってきたのである。戦後賠償の代わりに、韓国に対しては、無償・有償5億ドルの経済支援を行い、対中国ODAは中国経済に大いなる貢献をもたらした。(中国政府は昭和47年の日中共同声明で戦争賠償請求放棄)このような努力を無駄にしないように、今後も近隣諸国とは友好関係の継続が重要である。

 以上、首相の靖国公式参拝が、近隣諸国にとって目にしたくない動きならば、私自身も参拝には反対である。近隣諸国への配慮もあるが、やはりA級戦犯が靖国神社に合祀されている限り、小泉首相ではなく、一人の日本国民「小泉純一郎」として、参拝するべきであり、今後はA級戦犯の合祀を正当化する靖国神社のあり方も見直していかなければならないと考える。