| 題 :棚橋泰文大臣の講演を拝聴して:「食の裁判所」としての食品安全委員会 氏名:松本卓久 |
| ■食の裁判所としての役割 BSC問題(狂牛病)等の日常食生活を脅かす問題の発生を受け2003年5月食品基本法が成立。さらに2003年7月に内閣府に「食品安全委員会」が設置されました。元来「食に関する問題」は農林水産省と厚生労働省がそれぞれの担当でしたがこれを政治的・行政的に独立させる事により「リスク評価とリスクコミュニケーション」 を農林水産省・厚生労働省に勧告できるいわば「食の裁判所」としての委員会が設置されました。これにより、それまで食品安全行政を担当してきた両省の上位に位置しながら、独立性と専門性を備え、BSE問題のような専門かつ複雑な問題が起きた場合にも、行政内部のセクショリズム等の弊害を排除し、迅速に問題の解決を図る事が期待されるようになりました。 ■外圧により委員会の独立性が危ぶまれる BSE問題により米国の牛肉輸入がストップした後、米国は交易再開のためにさまざまな圧力を加えてきました。相次ぎ来日した米国政府高官らは牛肉問題について一歩も譲らない立場を貫きました。これらの米国からの所謂「外圧」が具体化するに従って、従来の委員会主導の「安全性確認」から両国関係を念頭に置いた「早期牛肉輸入再開」へと論点が移行してしまいました。特に2月25日の予算委員会における島村農水大臣の、「全頭検査というのは世界の常識ではなくて、非常識の部類であります」2との答弁は政府与党内部においてさえも「本来の食品安全委員会の役割に懸念を抱いている」との誤解を受けかね、委員会の独立性を危うくするものと思われます。 ■食の裁判所に対外戦略力を加える 米国の外圧により安全性を十分確認する前に牛肉の輸入再開への道筋はつけられてしまいました。日本は食料を諸外国に依存すると同時に貿易相手国にとっては優良顧客となっています。従って、今回のように輸入を止めることは貿易相手国にとっては国益を大きく損なうことになります。今回の米国の様々な圧力に見られるように相手国はあらゆる戦略的手法を用いてきます。我が国も、国民の健康と国益を守るためにも、独立した機関である食品安全委員会も対外的戦略を考慮した組織にすべきだと思われます。特に国内外へのマスコミ等への情報提供及び一般国民をも巻き込んだ各種セミナー等を主催することで行政と共により効果的に「食の危機管理」に取り組むべきであると思います。 1.中村靖彦『文春新書437 牛肉と政治 不安の構図』(文芸春秋、2005年、34ページ) 2.2月25日衆議院予算委員会第六分科会 |