題  与謝野馨政調会長の講演から「国際競争力」について
氏名  水平 和江
 「わが国の重要政策課題」がテーマの与謝野政調会長の講演は実に有意義なものだった。財政、年金、社会保障から憲法まで幅広い分野を具体的に分かりやすく説明していただき、講義の時間が足りないと感じたほどだ。

 とりわけ国際競争力についての指摘は、私も関心があるテーマで興味深かった。日本の国際競争力低下が叫ばれるなか、与謝野政調会長は、自民党が競争力の回復・強化のために設置した「国際競争力調査会」会長でもあり、特に注目した。

 そもそも、国際競争力とは何であろうか。
 スイス・ローザンヌに本拠を置くシンクタンク、国際経営開発研究所(IMD)が、世界の主要60カ国・地域の競争力をランキングした「世界競争力年鑑」を1989年から毎年発表している。国際競争力は、企業が競争力を持続的に発揮できるような環境を、国がどれだけ提供できるかという能力と定義されている。IMDは「経済状況」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ整備」の4分野、321項目にわたり競争力を分析している。

 このランキングで、日本は1992年までは総合首位であったが、93年に2位になった後は、順位を落とす一方で、国際競争力の低下を象徴している。2003年版によると、日本は「人口2千万超の国・地域」部門で11位、先進7カ国(G7)の中ではイタリア(17位)の次に低かった。同部門の首位は米国で、2位以下はオーストラリア、カナダ、マレーシア、ドイツと続いた。アジアの中では台湾(6位)、タイ(10位)がトップ10に連なった。発表によると、日本はさまざまな指標のうち、科学技術などの「インフラ整備」分野では5位だったが、「経済状況」14位、「政府の効率性」17位、「ビジネスの効率性」21位と、軒並み評価が低い。

 与謝野会長は、「経済で負けたらお終い、日本の得意分野を増やさなくてはいけない」と述べ、科学・技術、通商から教育まで、総合的な競争力を維持、強化しなければならないと指摘された。創造的な意欲をもった人間力、そのために必要な教育制度や社会的インフラを整え、力強い日本を維持することが必要だとまとめられた。私は大いに共感した。

 前述の国際競争力調査によれば、国の経済力への貢献でみると、日本の大学は最低の評価となっている。大学のみならず、現代日本の教育問題は深刻だ。ゆとり教育からくる学力低下、学級崩壊、いじめ問題など、杞憂すべき問題は多い。与謝野会長が指摘するように、創造性を基盤とした国際競争力を保つためにも、個性を伸ばす環境づくりとともに、児童・学生の能力、知的欲求を満たす環境整備も必要だと考える。