| 「考えるべき国の有事と憲法改正」 佐治 圭子 |
| 第二次世界大戦の敗戦後、新憲法の下、「戦争放棄」「戦力不保持」を貫き、日本は平和主義、民主主義の国に生まれ変わった。しかし、皮肉にも世界情勢は東西冷戦の時代の終結によって、地域紛争や内戦は後を絶たず、さらに無差別テロが加わり国際不安は高まるばかりである。このような脅威に対して、日本の安全保障対策には何が必要か。 確かに、わが国は日米同盟関係と憲法9条により、平和と安全が保障されている。しかし、独裁国家北朝鮮の存在や近隣諸国との領土・資源問題、増大する中国の軍事力の脅威は東アジアの不安を高めている。日本が有事に巻き込まれる可能性が懸念される国際情勢にあっても、自衛隊の基本は専守防衛である。湾岸戦争以降、国際貢献のため解釈改憲でPKO法案、周辺事態法、テロ特措法、イラク特措法などを制定し、自衛隊の海外派遣を積み重ねてきたが、後方支援に従事していることからも既に現行憲法のままでは対処できない。日本の防衛をどうするべきかを論ずるとき、矛盾する憲法9条の見直しは避けられない。 国際環境の激変とアメリカの「強い日本」を求める声が高まっていることを背景に、2004年、自民党は「改憲」論議を再スタートして、2005年10月28日に、党是「憲法改正」実現のために新憲法草案を公表した。論議の中心である9条は、1項はそのままで、2項の「戦力不保持」「交戦権否認」を削除して、「自衛軍保持」を明記した。9条を改めることに否定的な声は多いが、石破元防衛庁長官のご指摘の通り、自衛隊は、戦車、F15、イージス艦などを持ち、実質的に軍隊である。わが国が主体性を持って防衛力を運用するためにも、現行憲法の曖昧な部分を見直さなければならない。そして、新憲法草案には明記されていない「集団的自衛権」についても、主権国家である以上、しっかりと明記するべきだ。日本は国連加盟国であり、集団的自衛権を持っているが、憲法9条によりこれを行使することが出来ない。イラク政策で窮地に立たされているアメリカは、弱い日本を求めていないのである。日米安保体制において、日本の軍事上の貢献を阻害しているのが集団的自衛権である以上、国内世論は、否定的であるが、日米の有事における対処の信頼性の向上には必要不可欠と思われる。集団的自衛権を曖昧にせず、新しい憲法の核として、明確な歯止めも含めた議論を重ね、国民に、しっかりとした選択肢を示さなければならない。 以上、日本の安全保障対策には、日米同盟は重要であり、主権国家として軍事協力は不可避であることから、近隣諸国へ配慮しつつ、国のビジョンを明確化し憲法改正の意義を示し、安全保障の問題を、国民の納得を得るまで粘り強く説明していく必要があると考える。 |