題 「自衛隊のイラク派遣について思うこと」
氏名 深貝 博司
 これまでの日本によるイラク人道復興支援に関して、石破茂氏は国連で安保理常任理事国になることを自衛隊の派遣理由のひとつとして述べられていたが、昨今の我が国の常任理事国入りに向けての活動の経緯を見ると少々疑問である。そもそも日本がG4の枠組みで悲願の常任理事国入りを目指してきたのは、米国傾注の路線よりも全方位外交路線を選択した方が「米国嫌い」が多い国連では幅広い支持が得られるとの判断が働いたからである。しかしながら、米国との関係強化を第一の目的として掲げるイラクへの自衛隊派遣が安保理常任理事国入りに繋がるという理由付けには矛盾を感じるとともに、実際には何の効果も得られていないと思う。

 石破氏は「日米同盟の枠組みの中では派遣することが望ましかった」という理由も併せて挙げられていたが、今後はどうしていくべきであろうか。

 先に、米政府から陸上自衛隊の駐留継続の要請があったが、この要請には「同盟国である日本の駐留を継続させてイラクにおける米国の孤立感を和らげる」という思惑が働いていることは間違いない。なぜなら、昨今の米国内での世論においては、政府のイラク政策に対する批判が日に日に高まりを見せており、来年5月には英軍と豪軍が撤退、さらには来年前半の韓国軍の派遣数削減や来年末までの伊軍の撤退も表明されている現況下においては、米国が日本を「イラク政策継続に不可欠な最後の要」と捉えていることは容易に想像できるからである。

 イラクのサマワにおける復興支援活動のニーズは日に日に減少してはいるものの、米国から同盟国の象徴としての「目に見える活動」を期待されており、さらにはイラク移行政府からも駐留継続を切望されている状況を考慮すると、我が国は陸上自衛隊の駐留を従来の枠組みで継続すべきであると思う。

 米国への追随であると批判する向きもあるかも知れないが、駐留の継続がもたらす効果は自衛隊のイラク派遣の主目的である「日本唯一の同盟国である米国との信頼関係の強化」だけではないと思う。

 石破氏の「イラク国民は本当に日本が好きである」という言葉に象徴されるように、イラクとの良好な関係構築、中東地域における日本の存在感の向上、ひいては国際社会における日本の存在感の高まりも駐留継続の効果として期待できるのではないだろうか。政府は航空自衛隊による輸送任務強化をもって、陸上自衛隊の駐留延長に代えるという方法を検討しているようであるが、自衛隊の派遣は、米国との関係のみに主眼に置いて行うものではないということを考慮するべきであると思う。
以上