「官でも民でも、国民は任せっきりにしないこと。」         
加藤美幸
 先日、私の住む街の公共施設見学会があり、数名の応募者とともに市のマイクロバスで数箇所を巡った。過去に何度も訪れたことのある施設ばかりであったが、見学コースのひとつに、最近、調理業務が民間委託となった学校給食センターが含まれており、その内容と様子を実際に見ることが参加の動機であった。当初、給食業務が民間へ委託されると聞いたとき、子を持つ親の立場から本当に大丈夫なのか安全性は確保されるのかという不安を抱き続けていたためである。

 “どういう観点で、数社のうちからこの事業者が選ばれたのか”の質問に対して、行政側の担当者は、“学校給食への熱意が感じられたため”との返答をくれた。実際に20人弱の人達が約3800食(中学校5校分)を実に手際よく衛生的に調理している様子を見て、親として安心したというのが本音であった。また、その日の献立の調理内容によっては、人手の加減をするなど民間ならではの融通のきいた人の配置をしているという。市は民間事業者へ調理業務のみを委託したことで年換算にすると約2000万円の経費削減ができたのだという。安全で身近な食材の使用は従来どおりであり、また栄養士が学校へ赴き児童生徒と一緒に給食を食べながら話をする機会も持っているとのことであった。ほかほかの麦ご飯と、うまく味のしみたおでんを試食しながら、なるほどこれが“民間にできることは民間に“ということなのだなと、自分なりに納得したのであった。

 今日、日本の多くの地方自治体では財政状況が逼迫し、来るべき高齢化社会や災害への備えなど、行財政運営の困難に直面している。この街にも、まるで国の縮小版のように行政改革推進計画があり、政策評価委員会が設置されている。今後は指定管理者制度も推進され、民間へと業務を移すことが必然となるが、官でも民でもいずれの場合においても市民は任せきりにせず、特に受益者は真摯な視線と的確な発言をすることが、市民サービス及び社会生活の質のレベルを堅持し、また今以上に向上させるための大切な要素であると考えるものである。