| 「現場に真実あり!少子高齢化社会をむかえて、政治・メディアに女性の進出を」 |
| 2005年師走のある夜、テレビ画面にニュース速報のテロップが流された。 “1899年にデータを取り始めて以来、日本は初の人口減少となる。” この短い一文に示されることの重大さは、いったいどれほどのものなのか。国政レベルとして超えてはならぬ危機的な数値を予想より早く、それもあっさりと超えてしまった“驚愕”が、いち早く国民へ伝えるべきことと、速報を流させたものであろうか。一日の勤めを果たし夕飯の片付けも終え、やっとコタツでバラエティーを見てくつろいでいた多くの国民は、この事実をどう受け止めたのであろう。 --だから何? 責任は誰にあるというの? 日本はこれからどうなるの? 選挙後の組閣で、それまでは内閣官房長官が兼任していた男女共同参画大臣のポストに少子化担当も含め猪口邦子氏を起用したことは、ことの深刻さへの大慌てぶりをうかがわせるものである。遅かりし感も否めないのだが、大臣就任スピーチの冒頭において、“ジェンダー イクォーリティー”(gender equality=男女平等)という言葉が発せられたのを聞き、これからが本当の意味での男女共同参画への取り組みのスタートなのだという明るい希望を抱くことができた。今回の登用は彼女の政治学・軍縮等の輝かしい経歴や実績だけでなく、それらを子育てと両立させてきたという経験をふまえてであることは、まさにベストポジショニングであるといえる。これまでの日本社会において、結婚・出産をはさみ継続して仕事をしていくことの困難さを肌で知るとともに、海外での先進的な取り組みをも知りえており、机上の空論ではない現場の真実、また施策との矛盾を追究し、それまでにない新しい取り組みを期待するものである。 しかし、けして少子高齢化から脱却する為の男女共同参画であってはならない。逆である。まず男女の人権が等しく尊重され、あらゆる分野における活動への参画機会が対等かつ均等に確保されることで、成熟化したこの国の流れを真摯に、またそれまでにない異なった角度や深層から見つめ直し、押し付けや強制でない新たな対応策を展開してゆくことができるのではないかと思う。選挙前の平成17年3月の統計であるが、衆参議員の女性割合は9.2%、地方議会においては7.9%(平成15年12月)という1割にも満たない不均衡さである。 政治と同じく、報道・メディアの役割もことさら重要となっている。昨今、テレビ・インターネット・雑誌等の身近なメディア媒体から放出される、性の商品化や暴力表現がどれだけ社会に与える影響が大きいのかを考えるとき、そこを職場とし製作に携る人々が最低限、人権を尊重する意識を持っていなければ改善されることはないであろう。女性がアナウンサーやタレントなどビジュアル的なかかわりだけでない、番組作りに意見が反映されるような、女性の登用が推進されなければならない。平成16年の統計では、新聞記者数の女性割合は11%、NHKは10.7%で、管理職となると2.9%というのが現状である。 戦後の復興から60年、経済の隆盛と引き換えに軽んじられてゆく、社会規範や人間性、そして「命」。国際社会からは羨望の的である豊かで平和な日本が、当の日本人にとっては、夢のもてない、子どもも産めない、貧富・善悪二極化が進んだ、生きにくい社会へと国民自ら質を低下させているように思えてならない。特に“子どもを育む”ことに対する価値観の低さを是正しない限り、少子化からの脱却はありえないと考える。何がそうさせているのか、どうしたらよいのか。ぜひ、現場の国民の声を くみ上げる為にも、そうした場面へ積極的に女性を登用すべきと考えるものである。 参考:平成17年版 男女共同参画白書 |