学長よりのごあいさつ
成田 憲彦氏

  “愛知政治大学院 5月合宿”
 自由民主党国会対策委員長 中川 秀直氏講演


プロフィール
 皆さんこんにちは! 何で大声出したか分かります? ちょうど昼御飯を食べて眠くなる時分です。(笑)寝ている人を覚ますのには、大声で最初に「こんにちは!」と言うのが一番いいですね。商売でも何でもそうです。最初に入ったときから小さい声で「こんにちは」なんて、そんなもの商売なんてうまくいきっこない。大声で堂々と行く。入る前から、自分の願いを思い出して「必ずこうしたい、そういうためにこれから行くんだ」と自らを鼓舞して、相手の会社や競争相手に会う前に、精魂を持って臨む、そういうことが第一歩です。国会対策でもそうです。『きょうはうまくいくかなあ、どうかなあ』なんて、そんな疑心暗鬼な顔ではうまくいきっこない。「誠心誠意話せば必ず分かってくれるはずだ。もう体当たりでドーンといこう」と。元気というのはねえ、やはり、やる気・負けん気だと思うんですよ。元気という言葉はだいぶ手垢がついた言葉だけれども、「やる気・負けん気・元気」と気を三つぐらいつけておいた方がいいね。そう自分に言うんですよ。
 この政治大学院ですが、実は、私の選挙区でも小選挙区になったころは青年部の方々が結構熱心に勉強会を毎年1回やっておりました。最近はやったりやらなかったりなのですが、県連としてやっていると、しかも年に一回ではなくて、毎月1回きちんとしたことをやっていると。そして何と、大変なお金を払われて皆さん参加されていると聞いて、私は感心しました。やはりお金を払って来るというぐらいでなければ本当に勉強になりませんね。是非、うちの選挙区でもやりたいなと思って、学長の杉浦先生にお願いをして、今日は現地視察に来たという感じです。

 国会というのも、その都度いろんな課題がありますけれども、とにかく大事なのは、ひとりひとりの人間がどういうスピリットで臨んでいくかということを皆さんにちゃんとお伝えすることかなと、そんな気がいたします。ここに「ひとりひとりが未来を築く」と書いてありますけれども、全くそうですよ。国、県や市町村、国って何ですか? 「国がやるべきだ」って、国という人がいるのですか? そんな大金持ちの人がいるのですか? 全部国民じゃありませんか。私たちであります。国がやるということは、俺たちの負担がそれだけ増えるんだよ、私たちがやるんですよ。税金ですからね。国がやれば又それだけ増税になってみたり、こんな不況になってみたり、みんなが苦労するわけでしょう。いろんなことを言ってみたところで、国というのは国民、われわれ皆だ。県、市町村といえば自分だ。
 もっと言うならば、国づくりは何かといったら、やはり国は私です。国づくりというのは私づくりです。私が十分完成したと思っていて何もしない人は、全然完成してないのですよ。自分はもう完成した人間だから、もうこれでいいんだ、あとは本を読んで腕組みでもしている。そんなの完成した人間ではないです。われわれは不完全で終わるのが人生かもしれませんが、何かしますよね。実践しますよね。今、日本にとって、それが少な過ぎるのではないでしょうか。
 アメリカ人の言葉にメイク・ディファレンスという言葉があります。違ったことを始める、違ったことをつくる。アメリカ人というのは、良くも悪くもメイク・ディファレンス。世界の歴史を変えよう。フランス、ドイツ、ロシア、中国が反対しようと、イギリスとスペインと東欧諸国だけでもイラク戦争をやってしまったわけです。逆に言えば、この国はスピリットがありますね。良い悪いはともかくとしてスピリットとしては、はるかに強いものがあります。私はやはり「ひとりひとりが未来を築く」というのは、そういう意味なのではないかなと思います。国をつくるというのは、私をつくる。そしてつくった私で何かをするということなのではないかなと。

 国会対策ですが、民主党の国会対策委員長の野田さんは、若い当選2回の松下政経塾一回生。12月にご挨拶に来ました。その前の佐藤さんという国対委員長は、熊谷さんと一緒に民主党を出てしまいまして、保守新党で、いま与党の国対委員長として一緒に仕事をやっています。その後、野田さんが来た。野田さんは当選2回。樽床伸二 国会対策委員長代理が当選3回、伊藤忠治筆頭副委員長が当選5回。民主党内でも色々あって、野田さんが候補者になったのでしょうけれども、多少遠慮がちで、野田さんが「国会対策なんてやったことないから心配です」と。私は、「そう心配しなさんな。全部私の言うとおりにすれば何も心配ない。」と(笑)。しかし、一切嘘はつかないよ。できないことはできないとはっきり言う。そしてこちらにも与党の責任と立場がありますから、ここまで一生懸命やってできなければ通しますよ、と。やはり譲れない一線というのは当然お互いにあるわけですから、そこは、もう後は採決しかないんです。それは国会の議決で決まるのですから、それで予算案の成立を絡ませて止めさせなきゃ応じないなんて、そんな理屈なんか通らない。そのかわり、やはり国民の皆さんを代表してやっているのですから、耳を傾けて、懐深く、何ができるのかまず考える。そしてこの点ならできるよと、これだったらこうしていこうと。嘘はつかない。そのかわり、いつも元気でやる気・負けん気で、向こうにもそういう気持ちになってもらって真剣に話す。昔の旧来型の、やれご飯を食べたとか、マージャンでわざと負けてあげたとか、何かあまり表に出ないものが動いたとか、そんなことはもう一切やっていません。真剣ですよ。やっている人はみんな信頼ということが一番大事なんだと思ってやっています。選挙だって政治家だってビジネスだって、みんな同じ立場にいると思います。

 そんなことで、次の時代を築く皆様もリーダーを目指しているということで、是非リーダーになってもらいたい!もうそれしか、自らリーダーになるということでなければメイク・ディファレンスなんか起きない。『よく分かっているけれども、まあ難しいからやめておこう』、そんなことで国が発展するわけがないし、皆さんの未来が良くなるはずがない!そういう意味で、ここで学んだものを何か実践に移して一つでも変えていってほしいと思っております。
 (第3期募集要項を開き)「新しい鼓動を感ずる。今、世界規模で考え、行動するべきだ。」おっしゃるとおりだなと本当に思いますが、いささか情報主体ですが、国会のことをお話します。その中で1番目は、有事法案は、来週の半ばごろにはもう話し合いをつけて、なるべく早く通す。それでも、まだ一、二点まとまってないものがあるのですが、まとまってないものでも、こちらの譲れないものは譲りません。それで駄目ならば仕方がありません。もう、はっきり言います。「おたくの方で賛成するのが難しいと、その場合は本会議で通すしかないな」と。まあ水面下でいろいろ話して一生懸命やっておる。来週半ばぐらいに何とかまとまるかな、こんな感じです。
 個人情報は、5国会、4年間もやってきましたが、これも何とか参議院へ移すことができまして、5月下旬の比較的早い時期には成立するのではないでしょうか。

 有事法制も、何で今有事だということがありますが、地震や災害では、住民避難の措置が災害対策基本法や条例等で定められていますが、有事の場合はそういうものが何もない。だから、「今なぜやるの?」ではなくて、「今までなぜやってないの?」という話です。
 そうした国会の状況で、イラク復興新法が出てくるのかこないのか、いろいろそういうこともありますが、私は、世界はずいぶん変わってきたと思いますよ。日本は、反戦平和といえばもう最大の抵抗勢力と思われるほど戦後やってきました。第二次世界大戦であれだけ大きく被害を受けましたから、平和というのは自然の感情なのですね。しかし、世界はいつも平和かといったら、そうではない。『平和だ』と我々が感じてきた中でも、毎年世界のどこかで紛争があり、虐殺があり、抑圧があり、そして独裁があったり人権侵害がある。また飢餓、貧困、いろいろなものがある。それが現実です。
 そういう中で、今度のアフガンや同時多発テロ、そしてイラク戦争を見ると、アメリカという国がこれほど一国だけで強大な軍事力を持って世界にあらわれてきたというのは、恐らく大英帝国より以上であり、あるいはローマ帝国以上であるのではないかと思います。世界がもっと狭かった時代かもしれませんが、あの大ローマ帝国だって、メソポタミア、アフガニスタン、中央アジアまでは占領していませんでした。大英帝国だって、七つの海を支配しましたが、そんな地域を押さえたことは一度もありません。事実上、アメリカが押さえたとは言いませんが、自由と民主主義をこれから実現していくということですが、少なくとも2,000万人のあのイラクの国に、米英軍、ポーランド、あるいはオーストラリア、オランダまで出しましたね。そういう国々の兵士のごく一部とイラクの市民が合計約2,000人死んだ。2,000万人を開放するのに2,000人が死んだということは、大変なことなのですね。しかも、三十年ぐらい続いたフセイン体制をあっと言う間に、かちっと押さえ込んできた国を開放してしまった。これは大変なことだということを、日本のマスコミではなかなか伝えないけれども、世界の動きとしてはそういう点を押さえる必要があるでしょうね。
 田中明彦さんという東大教授が、「新しい中世」という本を数年前に出しました。どういうことかというと、中世の時代はカソリックが絶対の権威だった。今、また自由と民主主義というものが絶対の権威になろうとしている。ソ連とアメリカが核兵器をお互いに持ちながら最終核戦争をしそうだ、こういう全面核戦争の恐怖というのがあった。そのソ連が民主ロシアになりましたね。お互いに東西の陣営が駆け引きを打ち合って世界が滅亡するという恐怖は、あの当時よりははるかに薄らいだことだけは間違いありません。ロシアも民主ロシアになっていくそういう状況の中で、文明というものの中身が、自由と民主主義というものが絶対的価値になりつつある。その過程の中でこのイラクの問題もとらえていくべきなのではないか、私はそう思います。
 そしてこれからの北朝鮮の問題にしても、中国の問題だって、自由と民主主義が絶対的価値であるという新しい中世の時代がやってきて、国際情勢はそういう方向に動いている。急に動いてもらって北が有事になってもらっても、台湾関係が大きく変わっても困りますけれども、しかし、そういう大きな流れだけはあまり変わらないのではないか。私の尊敬する教授がそう言っています。そうかもしれません。

 京大の中西輝政教授も、それから岡崎久彦さんも同じことを言っています。私は、この一点は押さえておくべきだと思います。そうすると日本はそれに対してどうしていくのか。そういう絶対的価値だとか、例えばローマ時代でいえば、カルタゴというのはそれに歯向かって滅亡してしまったわけです。そんな道をいくのか、あるいはそういううねりを的確にとらえて、日本は日本で単なる経済大国ではなくて、政治大国も目指しながら、そういう流れの中でしっかりとした役割を果たし、そしてその道を進んでいくべきでありますから、そこは真剣に考える必要があるのではないかと、私は思っております。
 いよいよ22、23日はブッシュ大統領がテキサスの自分の牧場へ、中国の江 沢民さん以来4人目です、小泉さんを招いて日米首脳会談を開く。そこで多分、北朝鮮の核完全廃棄要請の共同声明を出すのではないかと私は思います。ブッシュさんと小泉さんの関係は非常にいいのですね。真昼の決闘、ゲーリー・クーパー、グレース・ケリーなんていう話題で盛り上がっています。2回目に行ったときには、わざわざブッシュさんが3色刷りの古い「真昼の決闘」のポスターを探し出してきて小泉さんにプレゼントした。小泉さんは「悪を懲らしめる、負けるな」と流鏑馬(やぶさめ)の矢を持っていった。大したプレゼントだとは思いませんが、意味はこもっているね。すっかり盛り上がって仲良くなっています。
 去年の12月、私はブッシュさんの選挙の責任者であるカール・ローブ、選挙の責任者であり、ホワイトハウスの上級顧問です。そして、もう一人、アンドリュー・カードという首席補佐官。ブッシュさんの一番信頼する二人と話しました。「うちのボスは、あんたのボスを心から好きで、そして尊敬してるんだよ。北朝鮮の問題は、少なくともうちのボスは日本の小泉の判断を信用すると言っている。だから、コンドリーザ・ライスは、北朝鮮の問題だけはパウエル寄りなんだ。イラクやその他の問題だとラムズフェルド、ウォルフォウィッツ、タカ派寄りだ。」こう言いました。ですから、今、日米関係が一番うまくいっているのではないかと思っています。
 日本に来ているベーカー大使は、こう言いました。「世界に3人の指導者がいる。1人はブッシュ、1人はブレア、1人は小泉だ」と。これはちょっとほめ過ぎだよね。(笑)でも本当にそう言った。
 私は、これからね小泉さんの3月20日の記者会見は、とにかく7割、8割が反対でもやはり真実を語ろうとした。日本を攻撃した国はアメリカを攻撃したことと同じになる。アメリカは、そう言っている唯一の国だ。そのことが、いかなる国であろうと日本を侵略しようとする国に対して大きな抑止力になることということを日本は忘れてはならない。これは率直なことで、役人の言える言葉ではありません。誰だって反戦、平和がいいに決まっている。しかし現実は現実である。その中での真剣な政策、国益というもの、これを国民が選択していくんだと思います。そういう安全保障意識というものが効いたから石原さんは300万票とった。石原さんは小泉さんよりももっとタカ派ですからね。北朝鮮に軍隊をおくれと言うのですからね。あるいは共産党があちこちで負けた。自民党は、自民党系無所属も入れたら100人県会議員が増えた。共産党は50人ぐらい。社民党はもういよいよなくなるぐらいまで今回の地方選で負けた。
 私はそういう意味で、これからのイラク復興新法などが成立する、あるいはしなくても、イラクの暫定政権ができて、国連決議ができて、そして日本に来てくださいと言ったら、私はかつてティモール、カンボジア、あるいはゴラン高原にPKOで行ったようにイラクに対しても何らかの人的貢献をすべきだと思う。これは大きな世界の新しい動きの中で大事な方向だと私は思っております。そういうために国会を延長しろと、40日ぐらいこの成立に時間が掛かるなら、それは延長するしかない。また11月には、今、アフガニスタンでやっているテロ特措法が11月1日に切れる。秋の国会を10月の中旬に召集して、「ただちに2年間延長してください」といっても、国会は間に合わない。ならば、延長しかないだろう。その辺は、まだどうなるかわかりません。しかし、いずれもそういうことが全部影響しているということではないのかなと思っています。

 「小泉さんは、外交の方は合格点だけど、経済の方はちょっと合格点はまだやれない」という声が、霞が関からずいぶん出ました。確かにこの連休、外国へ行く前にも、私も小泉さんにそれを言いました。だけど、小手先のことではなくて、本当に抜本的なことをやらないと、なかなこの病は治らないのも事実であって、株価対策でいろいろ与党も自民党も出しました。その中で、不良債権処理の対策として銀行保有株の取得機構の機能強化とか、つまり、例えば銀行が持っている株を、その投入のときに8%値段が下がったらいけないからと、お金を積まなければいけない。それはなかなか機構があっても、機能しない。8%を撤廃するとか、その分、もし値段がこれ以上下がったら、国民の負担になるわけですから、ここは覚悟しなければなりませんけれども、今の株式市場のままでいくとは誰も思っていないわけです。そういうことをやるとか、日銀の買取枠を2兆円を3兆円に、1兆円さらに増やすとか、あるいは企業の自社株、自らの会社の株を企業が買うということを、株主総会だけではなくて取締役会でも決議が行われてやれるようにするとか、あるいは厚生年金基金というのがあって、それを10月までに法的部分の代行を返上する、10月以降でないと返上は受け付けないというのを改める。株式を持っておる。8兆円ある。それがどんどん、どんどん値段が下がる一つの理由になっていることもあるのですが、それを10月ではなくて今でも代行返上していいと、お金ではなくて株の現物でもいいよと、こう言えば売らなくていいわけで、こんな相場になるわけないわけです。といったような提案が四、五点出ているのですが、これもそれなりに効果はあるし、やるべきだと思います。
 だけど、一番大事なのは、1,400兆円もある個人貯蓄がどうやって証券市場に向かうか、これが大事です。日本は、自由主義経済。自由主義経済とは資本主義経済。資本主義経済というのは、資本という名前がついているとおり、資本市場、株式市場で資金を集めて、そこで設備投資をし、雇用を起こし、新しいビジネスモデルを展開していく、こういうシステムです。ところが資本市場、株式市場なんかなくていいとか、株式市場がどうなってもいいとか、そんなことをしたら大変ですよ。小泉さんが「株価には一喜一憂しない」と言ったから、私はすぐ翌日に文句言った。「一喜一憂していると言うべきだ!しないなんて言ったらだめだ!日本の自由主義経済の価値を分かっていない!」一喜一憂すべきなんです。
 私は、竹中さんに、「株や土地を買ったら、相続するときに評価を2分の1にするとか3分の1にするとかやってみたらどうだ」と。そしたら彼の答えは、「いや、それも分かりますけど、ちょっとそれはまあいろいろ事実上難しいところもある。それよりも、相続するときか、あるいはその株を買ったときか、値段の安い方で評価したらどうでしょうか」と。低価法といいます。今、3,000円の銀行株が50円になっているところもある。いずれにしたって、よく考えてみれば、配当を考えれば、これほど利回りのいいものはないですよ。3,000円した株が50円になって、配当は5分配当。1年に2円50銭の配当がつく。100円なら5円つく。100万円なら5万円つく。要は、利回り5%。今、定期預金の利回りは幾らですか? 100万円でウーロン茶1本ない。二、三十円でしょう。ちょっと手数料を払うと手数料の方が高い。それでもみんな貯金をする。何でか?だけどNTTの株を買ったら損した。新規公開株は注目されるけれども、みんな上場した途端に下がる。だからみんな信用していない。証券会社は損失補填などをやって、ああいう信頼のないのがずーっと引きずっている。しかし、資本市場がよくならなければ資本主義経済はよくならない。皆さんのビジネスマネー、あるいはビジネスが強くならないのは当たり前の話であって、そういうことを竹中さんに言ったのです。今、株が安ければ、もう底に近いと思って買うでしょう。上がって、親が子どもに相続するときに、買ったときの値段の10分の1、30分の1の値段で相続すれば相続税はそれだけ下がるという方法をとったら、「ああ、それじゃあいずれそういうことも考えられるから、今年のうちに買っておこう」となったら、1,400兆円の   相当部分がいくだろう。王道はそこにある。本当の玉石混淆の玉の部というのはそこにあると、私はそう申し上げたわけであります。
 日本はまだまだものづくりは強いですよ。トヨタの関係の方もいらっしゃるかもしれないが、日本の輸出というものは、過去10年、失われた10年でも2割伸びました。1ドル240円が120円になって2割伸びたということは、4割伸びている。こんな国はありませんよ。しかも研究開発投資は世界最高、GDPの3.6ぐらい。アメリカは2.8、韓国は2.6というんだから、世界一ですよ。まだまだそういう競争力はいっぱい持っている。問題は、非工業、非製造業、そういうものが弱い。実際のところ負け組だ。そこで、製造業は最近、経済雑誌なんて読んでいると、もう筋肉質の体質にみんな変わってきている。痛みもあった、リストラがあった、いろいろあったけれども、現実はどんどん変わってきている。巨額赤字で苦しんでいた電機業界、ソニーとか東芝とかいろいろありますね、そういうものもどんどん出して償却していっていますから、ことしの3月決算は、9社全部黒字決算です。需要は低迷しているけれども利益が出る構造に変わってきた。私の知っている横河電機さんにしてもそうです。本社の社員は700人いたのを150人にした。首を切ったわけではない。みんな現場に出す。工場は17か所あったのを2か所にしてしまった。3月決算で今、全産業の手元資金は50兆円あります。それが新しい設備投資になぜ使わないかというと、日本経済に対して不信感が強いから。そういうことを変えるようなこと。経済を簡単に言えば、夜明け前が一番暗いのです。今は夜明け前だから暗い。だけど、それを明るくするのはみんなでしていかなければいけない。私は、設備投資だって、もう更新時期を過ぎてどんどんしなければいけない時期に来て、そのサイクルが遅れているぐらいですから、これから設備投資だって必ず上がっていくし、株だってそういうサイクルにある、そう思っております。

 さあ、この秋の天下はどうなるかということですけれども、私は、小泉再選だと思います。解散はその後、11月、12月だと思う。小泉内閣は何なのかなというけれども、いろんな意味でやはり国民との信を築いていますよ。70数%が「構造改革は必要だ」と、それから、「これまでの首相と比べて小泉さんの方がいい」と大体答えている。「あと1年以上総理大臣を続けてもらいたいという」のが36%です。「1年は続けてもらいたい」というのがやはり34か35%。これで7割です。1年以上続くというのは大変なことですよ。もう2年続いています。戦後27人いた日本の首相で、2年以上続いた首相は11人しかいない。そのうち6人の首相は2年7か月以内に代わっている。それ以上続いたのは5人しかいない。一番長いのが佐藤栄作さん、吉田 茂さん、それから中曾根さん、池田さん、岸さん。岸さんが1,241日ですから、3年までいかない、2年10か月ぐらい。それ以降は、橋本さんの932日、2年7か月。以下、海部さんもそうだな。みんな7か月。小泉さんにこの数字を二、三日前に言った。「ああそうか、それじゃあ俺も7か月以内にやめるのか」と言うから、「そうじゃない」と。あなたは不思議だよ。今、俺がずっと見て考えたのは、みんな派閥合従連衡に長けた人たちだった。あなたは全然そんなことは考えない。それでもっているのは大変なものだ。だけどねえ、そうは言っても、新聞は抵抗勢力だ、青木さんだとか、野中さんだ何だと言うけれど、郵政の問題では野中さんが改革を担ってくれたり、道路の問題では古賀さんが改革を担ってくれたり、ちゃんとそれは着々と進んでいるのです。説明すればわかってもらえるが、ほんとに着実に向かっていっている。改革をやってくれているのです。だから、新聞は「小泉VS抵抗勢力」なんて書くけれども、そういう人たちがずっとやっている。それを忘れてはいけない。大事なのは、小泉さん主導で、首相官邸主導でさらなる改革を進める、挙党一致体制をつくっていくことがこれからのカギなのです。まあ見ててください。いずれ皆があっと思うような、びっくりするような秘策が出てまいりますから。そういうことで、小泉さんが再選されるでしょう。

 いずれにしても、国と地方の関係というのは、三位一体の改革とか、あるいはもっと日本が自由で公平・公正で納得できるおもしろい国にしなければいけません。日本へ海外からの投資は、GDPのわずか1%しかない。アメリカやヨーロッパがよそのブロックからもらっている投資の20分の1しか来ない。アメリカは27%、ヨーロッパは28%、中国は40%。情けないと思いません? 1,800万人近く海外に旅行に行くのに、日本へ来るのは400万人もいない。また少し減っている。おもしろくない証拠だ。医療でも教育でも、あるいはまた農業でも。農業をやりたい人は、今は5反以上持たなきゃ農地を買っちゃいけないなんて、そんな法律は要らない。リタイヤして農業をやりたい者は100坪でもやらせればいい。もっとおもしろい国、魅力ある国にする。でなければ欧米並みの投資ももらえなければ旅行客も来るわけないでしょう。そういう方に変えていくというのが、実は小泉改革の大事なところです。
 それと、塩川さんが、「母屋はお粥をすすっているのに、離れではすきやきを食っている」と言った。国、地方どこでもそうですが、行政改革をしないと、予算はケチケチしとるわ、特別会計だ何だ、そこにいろんなものがぶら下がって、500兆のGDPのうち360兆円が特別会計で動いている。特別会計という事業をやっているということです。まさに社会主義ではありませんか。それを民間に開放して、もっと自由な競争が行われる国にしないから、こんな停滞状況がある。それを変えていこう。自民党の組織が半分壊れた。「あまりそういうことを言いなさんな、小泉さんもう壊れているんだから」と青木さんは言った。壊さざるを得ない。そういう中から変えていかなければいけない。国民の方がわかっている。「小泉さんがやめると、また既存権擁護に戻って何も変わらなくなってしまうのではないか」、それが7割の支持の根幹だと思います。その分、実際は、もうマスコミは2年経てばたたく。批判のエキスパートですから。それで内閣支持率5割ぐらいになっていると、こういうことですが、38%、また6割、4割、また5割、こんな復元力があるのは初めてです。大体、政権というのは、さあとなったらさーっといくのが本当ですが、これはやっぱり日本人の政治を見る目も肥えてきたし、そしてまた時代がこういう方向を求めているということだけは間違いないのではないかと思います。それに続いて、皆さん自身も時代をよくするために頑張ってもらいたい。終わります。きょうは本当にありがとうございました。(拍手)

【司会】 中川先生、ありがとうございました。それでは、早速、質疑応答とさせていただきます。ご質問のある方は挙手をお願いします。簡潔にお願いします。
森さん、お願いします。
【質問(森)】 中川先生、ありがとうございました。シニア院生の森一陽と申します。質問させていただきます。もし中川先生が総理総裁、もしくは閣僚のお立場で判断したら、どんな分野に今一番力をいれるべきだとお考えでしょうか。
【中川氏】 これは、優先順位はありますけれども、しかし、すべてがすべてに関連してしまいますから、内政をしっかり裏打ちしない外交は外交たり得ないし、外交を考えない内政なんていうのは、これまたあり得ないことでしょう。そういう意味では、非常にわかりやすい質問なんだけれども、実は答えにくい質問です。どれをやりたい。全部やりたいですよ。また、全部総合的にやらざるを得ません。
 ただ私は一つ、基本的な理念を言うと、さっき、国が全部しますというのは、皆さんの税金がどんどん上がるということなのですよ。県や地方自治体にどんどんやれということは、俺たちの税金を上げろ上げろと言っていることなのですよ。ここをちゃんと押さえておかないで言うのは、本当のリーダーになれる人ではない。また、本当の真実を語ることにはならないということを申し上げましたけれども、それから考えると、何が国を富み、発展させているかということを真剣に考えてもらいたい。
 「平 清盛」という小説の中で池宮さんが、「官僚は税金は天から降ってき、地から湧いてくるものだと思っている。いつの時代だってそうだ。戦国の時代から、藤原の時代から、ずっとそうだ。しかし、公租公課、税金というものは天から降ってくるものでも地から湧いてくるものでもない。まさに税というものはそういう意味では、その時代に生きている人たちの公共への奉仕である。したがって、それは1円たりとも無駄にしてはならない」ということを平 清盛に語らそうしている場面がありまして、それは非常に大事な点です。雇用を生んでいるのも民間のビジネスです。税を払っているのもビジネスです。そうでないと言うなら、例を挙げてください。行政が雇用を生んでいますか。いや、公務員がいるじゃないか。それは公務員はいますよ。その給料は誰が払っているか。ビジネスではありませんか。住民税だって所得税だって、公務員の方々も払ってらっしゃるけれども、圧倒的にサラリーマンが納めている税金、あるいは企業が納めている税金です。国を富み、発展させているのは、雇用にしろ、税にしろ、ビジネスなのです。ビジネスモデルが発展するかしないかは、それが大いに発展し、それが勝ち組たりえていかなければ、その社会は必ず衰退していきます。そういう意味からいうと、そういう理念を持って物事を考えなければ、これから日本は改革できない。さっき言った、368兆全部入れると公会計が国のGDPの7割を占めておる。これは社会主義国家よりもひどい。だから中国人がわれわれ日本人に近づくと社会主義になると言うのです。中国は社会主義国家でしょう。しかし、今、彼らは資本主義国です。名目、姿は社会主義でも、上海に行ってごらんなさい、30階建て以上のビルが10年間で2,000棟建った。日本に30階建て以上のビルが何個あるか知っていますか? 220棟。東京が120、その他地方が100棟。上海だけでたった10年で10倍建っている。あれはみんな外資、コンソーシアムだ、会社だ。公務員の給料は安いけれども、党の組織が商社をやり、ホテルをやり、ビルを建て、地域の公務員がサイドビジネスをする。サイドビジネスの方が給料より100倍高いわけですから、車はバンバン売れる。日本の車よりも100万ぐらい以上高いですよ。日本で300万のものが中国では450万ぐらいする。部品を持っていくから高い。でもバンバン売れる。政治は社会主義・共産主義ですが、経済は資本主義をやっている。そういう自由な競争のビジネスを強くしていかなければ、税も雇用もないのです。
 そういう考え方から言うと、アメリカのネオコンにも二通りあるが、軍事ネオコンは、どっちかというと超タカ派という感じですが、経済ネオコンというのがあります。その人たちは、「アメリカのGDPに占める連邦政府と地方政府の比率は36%だ」と言う。日本はGDPに占める予算は七十何%です。特別会計でも36%。それを25年間で半分にするという。半分にしたい。しなければ発展しないと言っている。どういうことをやるかといったら、もちろん水道や上水も民営化。消防も民営化。「消防ってどうやって民営化するんですか」。「火災保険とリンクさせるんだ」と、こう言う。必ずできると言います。そういうことの方がはるかに無駄が少なく、そして国民が幸せになる。連邦政府のを半分に、州政府を半分にする。それが減価償却は一発償却を認めるという税制改革になっていき、これから証券税制はゼロにする。まだ通っていませんけれども、レーガン税制以来の大ブッシュ税制をやろうとしている大きな理由です。それを指導しているのは経済ネオコンといわれている全米税制改革協議会のグローバー・ノーキストさんたちなんですよ。だから、それは非常にアメリカの大きな政策を打ち出そうとしている。こういうふうに一緒に変わればなると思うんですね。日本もそういうことじゃないかな。

【司会】 ありがとうございました。あと1問をもって質疑応答を終了とさせていただきます。では安田さん、どうぞ。
【質問(安田)】 安田庄一と申します。国会対策委員会、いわゆる国対政治についてお尋ねします。
 これまで国会対策委員会というのは、いわゆる裏の政治の温床になってきた部分は否めない。先ほど中川先生のお話の中で、現在は非常にオープンに、フリーにやっていらっしゃるというお話だったのですが、であるならば、そもそも国会対策委員会というものは必要なくて、議院運営委員会においてその役割をカバー、あるいは通常の規定どおりに議院運営委員会をもっともっと活用していくことが大切なのではないかと思いますが、いかがお考えでしょうか。
【中川氏】 おっしゃるところは半分当たっています。だけど、私も議院運営委員長も数年前にやらせていただきましたが、現実問題は半分当たっていない。というのは、議院運営委員会というのは、横ならびの委員長が、厚生労働委員長とか、財務金融委員長とか、国土交通委員長とか予算委員長とかいらっしゃいまして、議院運営委員会の委員長が全部の委員長をしっかりとコントロールする権限はないのです。各省大臣同士の閣議と同じです。議院運営委員長は、本会議のマターについて、本会議でまず、例えば難しい法案だと趣旨説明をして、重要なものは小泉さん出てこいとやる。そして初めて委員会に法案が付託されます。付託というのは、委員会におくることができる。そういう手続をしないとおくれない。委員会で何日かやってくる。上がってきたら、今度は本会議で採決して参議院におくるという手続になっているわけです。ツブシと言って、まず委員会にいくのをこの議院運営委員会で野党はとめるわけです。その本会議のところの仕事は議院運営委員会ですが、今度各委員会へいって何日かかけてどういう議論をして、大臣が来る来ない、いろいろあって日程を立ててやっていくということは、議院運営委員会は何もできないのです。ということで、やはり半分必要です。というのは、小泉さんは体一つだし、大臣だって、片山総務大臣なんかはもうこんな幅広いわけですし、官房長官も幅広いわけですから、いろんな委員会から来いと言っても、体一つで、「来なきゃ審議に応じない」となったら、今の10倍時間があっても法案は間に合いません。しかもそれは与野党間でお互いに全く立場が違う者が主張し合うわけですから、それを調整をしてということになると必要だ。というのは、半分当たってないというのは、どんなときでも、例えばアメリカにも院内総務がある。さっき言ったベーカー大使も昔そうですし、マンスフィールドさんもそうです。議長はおられるけれども、やはり会派の代表が向こうと話し合って、この委員会には何日間この大臣を出してこの法案を先にやろうとか後にやろうとかいう調整をします。各党ばらばらに、おれはこっちの法案が先だ、俺はこっちの法案が先だでは、話がまとまらないうちに終わっちゃったという議会にはできないものですから、やはり議会政治の中には国会対策というのは、何か悪の温床みたいにマスコミが言うものですから、そういうイメージになっていますが、どんな国にもあります。ただ、昔の闇取引みたいな、国民に対してこれだけ法案に抵抗したというのは見せ掛けで実は裏で話がついていたと、こういうイメージがあまりに宣伝されて、国会というのは何か胡散臭いところだというふうに受け取られておりますが、そんなものは今ほとんどありませんし、やるときは真剣勝負です。話をするときは堂々と。だから、修正協議だって毎日テレビで出ているじゃありませんか。堂々と表でやっています。
 私はだから、いろんな打合せや会議だって、基本的には、まあ国会対策まで全部できないところもありますけれども、いろんなものは公開。そのかわり記者会見でブリーフはしないよと。皆さん見てなさい。それが一番楽なのです。ところが、むしろマスコミの方が、自分たちが横着するために、公開しないで後で記者会見をしてくれと。1日にいろんな会議がいっぱいありますよ、全部公開したら全部行かなければいけないでしょう。「そんなものは知らないよ」と私は言ったのですが。例えば原子力発電の問題でも、専門部会まで全部公開する。だけど記者たちは悲鳴を上げているわけです。1日に三つも四つも分科会が開かれますから、全部カバーできないでしょう。「そんなことやらないで非公開にしてレクチャーしてください」と記者の方が言っている。そのくせ、後で密室だ何だって悪口を言う。これが実態なのです。

【司会】 中川先生、長時間ありがとうございました。(拍手)