学長よりのごあいさつ
愛知政治大学院 2月講座
行政改革・規制改革担当国務大臣
石原 伸晃 氏 講演
平成14年2月19日

プロフィール

 名古屋の皆様こんにちは、石原です。高いところから学校の先生みたいですが、きょうは55分までお話をさせていただきます。

 今、杉浦学長さんがお話されましたように、小泉総理が構造改革を掲げて自由民主党の総裁選挙に出て、勝利をされて現在、総理を務めておられます。何で構造改革を行わなければいけないのか。これはもう皆さん分かってらっしゃると思うのですけれども、日本の抱える供給サイドの問題を解決するためです。経済にはサプライ・サイドとデマンド・サイドがあります。物をつくる、あるいはお金を貸す、あるいは食事を提供する、何でもいいんですけれども、日本の場合は、需要に対して供給が多すぎるんです。すなわち、これまでの日本の社会は、言ってみるならば、社会主義でやってきた。全員がそこそこな生活を送ることができた。どんな企業も、その業界でそこそこ食べられた。しかし、冷戦が終わって、世界に国境がなくなって、その結果、物をつくるにしても、隣の中国のように賃金が日本の20分の1ぐらいという国がすぐ横にあらわれる。冷戦時代は、まさか中国で日本の電気洗濯機をつくったり、あるいはコンピュータをつくったり、車をつくったりなんて、誰も考えなかった。グローバルマーケットができたことによって、またITの発展によって、お金が瞬時に世界中をぐるぐる回る。あるいは製造拠点が生産性の低い日本を出て、人件費の安いところに移っていく。

 これまで景気が悪いというと、「よっしゃ」と、右肩上がりですから、財政がどんどん出動する。本州と四国の間に3本も橋を造った。関西では、関西空港、中部国際空港、神戸空港と三つ造る。関東だって成田と羽田の二つしかないんですけれども、大阪で三つも本当に空港が要るのか。ましてや中部国際空港は1兆5,000 億、神戸空港は、貨物だけで4,000億、全部造ると1兆円ぐらい。関空だって、もう2兆円ぐらい使っているわけです。どれだけの需要があるから幾つ空港を造っていこうかではなくて、『景気が悪い、よし、じゃあ空港でも造るか』と、どんどん、どんどん造っていく。それが右肩上がりですから、昨日よりも今日、今日より明日ということでどんどん、どんどん需要をつくってきた。しかし、それがままならない状態になったから、小泉さんが出てきて構造改革をやるんだと。もちろん、田中真紀子さんがいたから支持率が高かったこともあると思います。しかし、国民の大多数は、やはり『このままじゃおかしいな。護送船団でやってきたけれども、やっぱりこれからはボーダレス、国際化の中で競争していかなければならない』ということで、構造改革路線を支持してくださっている。だからこそ、自由民主党の歴代政権の中でまだかなり高い部類にある50%前後の支持率を小泉内閣が得ている。この道は、田中真紀子さんがやめたからといってやめることはできない。やめてまた無駄なものをどんどん造る、借金して物を造る。そうすれば一時的に景気はよくなります。しかし、どうでしょうか。小渕内閣、森内閣、二つの内閣は、2年半で100兆円ものお金を使ったんですよ。景気はよくなりましたか?なってません。何が増えたかといったら、借金ですよね。国の借金は400兆円、地方と合わせると今年の年末には700兆円になると言われている。今日お集まりの若い皆さん方がその借金を払うことになる。でも、若い方の数は年配の方より少ないんですから、そんなことをいつまでも続けることはできません。これまでのように、「これも造ってあげましょう、あれもやってあげましょう、これもタダにしてあげましょう」じゃなくて、政治家は「これはだめ、あれもだめです。これは値上げします。しかし、必要なこれだけはやりましょう」。と言わなくてはいけない。今、政治が大きく変わりつつあるし、また、変わっていかなければ、アルゼンチンと同じで国が倒産する、デフォルトするということになってくるのではないかと思います。

それでは、小泉構造改革内閣の今と未来、今後ですね、それについてちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 やっぱりこの問題を話す上では、田中真紀子前外務大臣の更迭問題の影響について触れざるを得ないと思います。杉浦学長は、外務副大臣ですから、相当苦労された。杉浦さんは辣腕弁護士ですから、いろんな方々と政治以外の世界でもお付き合いになっている。その杉浦さんをして「今まで付き合った中で一番難しい人だ」。私は、その杉浦さんの言葉を今でもはっきり覚えています。私も田中さんは難しい人だと思います。

 総理が予算委員会で、「一番傷ついたのは私なんだ」とあるとき答弁されたんですね。私は、やはりあれは総理の本当の気持ちだと思います。田中さんが1月24日の予算委員会で鈴木宗男さんの話を言ったんですよね。私がそのとき思ったのは、寅さんと一緒で、「それを言っちゃあおしめえよ」。ほんとにそう思った。普通でしたら、言った言わないの話ですから、そこで、「ああ、こっちも忙しいから勘違いしてた」と、両方が歩み寄って予算を通さないと。補正予算の審議をしてましたからね。予算で景気を下支えしているんですから、1日でも早く通さなきゃいけない。それをとめてしまうぐらい大きな話になってしまったわけです。ですから、小泉総理が苦渋の決断をされた。その重さを考えますと、私ごときがそれ以上申し上げるべきことはありません。

 その結果、内閣の支持率が20%から30%ぐらい低下した。それでも、日本の社会の仕組みは変えていかなきゃいけないと国民の半数の方はいまだに思っている。だからこそ、小泉改革を支持してくださっている。私は、特殊法人改革、あるいは公益法人改革、規制改革等をやらせていただいておりますけれども、昨年苦労して書いた海図というものに沿って、今年は日本丸という船を進めていかなければならない。総理も「今年は本当に勝負の年なんだ」とおっしゃっております。そして、結果が出て国民の皆さん方も変化を実感できるのではないかと思っております。

 予算委員会で杉浦さんと一緒に審議に加わっているのですけれども、テレビの欄を見ると、とんでもないことがよく出てますよね。「小泉孝太郎君のギャラは 5,000万円なのか」、「総理激怒」、「月給20万」とかですね。われわれはそんな話ばかりしているんじゃないんですよ。杉浦さんは特に日本の外交、アフガンにどうやってこれから協力していくかとか、そういうこともちゃんとしてるんですけれども、見出しはどうもそういうものになってよく出る。それがまあ小泉ワイドショー内閣と言われるゆえんなんだとは思うのですけれど。でも私これ、逆にいいと思うんです。なぜか。それは、多くの国民にとって、政治というものが身近になったからです。実際に、小泉内閣の成立以来、私には11歳の娘と2歳の坊主がいますけれども、かみさんが幼稚園の卒業会で、あるいは学校で奥さん同士、政治の話をするというんですね。これまで、そんなことはなかった。政治の話をするのがトレンディーになったわけですから、これはやはり良しとすべきだと私は思います。

 私は、国民の皆さん方は、事の本質、政治の本質をしっかり捉えているのだと思います。ですから、あの田中さんの話に戻るんですけれども、元はといえば、鈴木宗男さんという政治家が外務省に異常な影響力を持っていた。そして真紀子さんは、それはおかしいと思った。これは正しいことですね、おかしいと思うのは。そういうことを国民の皆さん方が思っているからこそ、今回のことで田中さんが脚光を浴びた。やっぱり国民の皆様方が感じている本質ということを、総理もおっしゃっているように明らかにしていかなければならない。ご苦労されるのは杉浦副大臣だと思いますけれども、そういうことだなと思っております。

 田中さんについて好き嫌いはあると思います。好意的な意見も批判的なものもあると思います。田中さんは、私が所管している公務員制度改革の大きな問題を実は提起してくれた。どんなことかといいますと、真紀子さんは人事にこだわった。大臣、あるいは副大臣は、会社でいうと社長と副社長です。民間企業ならば社長と副社長には人事権は当然ある。「あの部長は出来が悪いから左遷だ」とかね、「あの課長は使えるから、よし、部長に抜擢しよう」。でも、現在の官僚制度では、大臣、副大臣に人事権はあるんですけど、なかなか行使できない。というのは、中曽根内閣以来、内閣が続いた期間というのは、平均すると2年ないです、1年半ぐらい。社長が1年半でかわったら、社長に人事権があるといっても、人事権はなかなか行使できないですよ。コロコロかわって、どんどん首にしていったら、いい人がどんどんいなくなっちゃう。そういう大臣と人事権の問題を田中さんは提起してくれました。

 それともう一つは、政治主導の問題です。「もう官僚に頼っちゃいけない、政治主導だ」。最近のはやりですが、政治の独断、あるいは政治の横やり、これもある意味では政治主導に思われてる。北方4島のどこかにムネオハウスという施設がある。ムネオ丸なんていう船まであったのはびっくりしました。これは、政治の横やりです。政治主導ではない。余談ですけれども、あのときは、閣僚席でも、これは良いとか悪いとかっていう話の前に、「こいつはすげえ名前だなあ」と率直な感想が洩れたんです。政治主導はどうあるべきかということが今回の問題の本質です。

 公務員制度にもいろいろ問題があります。縦割りの官僚組織の弊害や、霞が関の政策立案能力の低下、あるいはこれも私の担当ですが、天下り、「渡り」というのがあるんです。「渡り」というのは、特殊法人の理事長をやって、その次に子会社の公益法人をやって、また公益法人の子会社の株式会社の社長をやって、特殊法人に戻る、という具合にいくつかの法人を渡ることです。退職金だけで3億円から4億円稼いじゃう。これを「渡り」というんです。私はそれまで、小林 旭の渡り鳥シリーズは知ってたけど、公務員が「渡り」だとは知らなかった。うちのおじさんは「太陽にほえろ」なんですけどね。

 それから職業上の倫理観という問題もあります。これがないと国民から信用されない。例えば、外務省。田中さんが問題提起した日に鈴木宗男さんに一杯ごちそうになったと国会で追及されたら、「はい、10メートル離れたところで挨拶しただけです」。信じます?皆さん。そういうことを言うから、『どうも外務官僚は信用できない』と国民の方が思っちゃうんです。そんな外務省と田中さんは対決した。それは立派なことです。

 その一方で田中さんみたいな人はそんなに居ません。個性が強くて、腕力があって、あんな女性ばっかりだったら、今のままの制度でも良いかもしれない。でも残念ながら、あんな人は沢山いないので、誰が大臣になっても、人事権を持って、そして不正があったら正していくような制度をつくることが必要だということです。

 そしてもう一つ、公務員制度の問題はスピード感のなさです。今の制度は年功序列で、入省何年目じゃないとどこのポストにつけないとか、いろいろしがらみがあります。ましてや、大臣がもうこの局はなくしてとか、新しい課をつくりたいと思っても、人事院に全部ご相談して、人事院が検討して許可が下りるまで大体3年かかるっていうんです。このスピード感のなさ。会社で局を変えたり課をなくしたり部をつくったりするのに3年かかるっていったら、その会社は潰れちゃいますね。そこに大きな問題があるのではないか。そんなふうにこの公務員制度改革で私は感じておりますし、また、田中さんが図らずもこんな問題を示してくれたような気がいたします。

 さて、前置きはこのぐらいにさせていただきまして、私が担当している行政改革について、話をさせていただきたいと思います。

 私は、四つの分野で改革を担当しています。まず、特殊法人改革。これはパブリック・カンパニーですね。親方日の丸のつぶれない会社、英語で言うとスペシャル・エージェンシー。何がスペシャルなのかというと、社長が天下り、税金を払わない、これだけでも十分スペシャルです。この特殊法人改革。そして2つ目が、公益法人改革。皆さんも社団法人とか財団法人とかいう名前を聞いたことがあると思います。あれが公益法人です。公益法人というのは沢山あるんですよ。特殊法人は77しかないですけれども、公益法人は2万6,000 ある。しかもこっちの方は、明治31年、民法ができて以来、1回もこの制度をいじってない。この公益法人改革。それと3番目が、さっき田中さんが図らずも示してくれた公務員制度の抱える問題。21世紀に合った公務員制度とは一体何なのかという、公務員制度改革。それと4番目が、いわゆる規制緩和に代表される規制改革、これを今、担当させていただいております。

 このうち特殊法人改革については、昨年の末、12月の18日ですけれども、特殊法人等整理合理化計画を閣議決定して、今年はこれをいよいよ具体化していく年です。特殊法人というのは、すべてが1本1本の設立法、法律によってできています。ですから廃止なら廃止、民営化なら民営化の法律案を出さないと、廃止も民営化もできない。その法律案を出していく。道路公団や住宅金融公庫や都市基盤整備公団、石油公団といったような、先行7法人のうち、石油公団の廃止の法案については、経済産業省がこの国会に廃止及び関連法案を提出すべく法案の策定作業中です。その他の法人については、この夏か秋にまとめて法案を提出して審議して、平成15年度からはもう廃止するものは廃止し、民営化するものは民営化していく。そのための準備を、関係府省庁でやっている最中です。

 その他、いわゆる政府系の金融機関、商工中金とか国民金融公庫とかです。これは、経済財政諮問会議でどうするかということを決めていただくということになっています。
 政策金融に関しては、組織をどうするかということは、今年中に明らかにするわけです。今は、やらなくてもいい事業までやっている。政策金融についても50項目ほど見直しを指摘させていただきました。「ここは違う法人でやっているんだからもうやめなさい」、あるいは「業務が同じなんだから統合しなさい」と、こういうことを指摘したわけです。まずは何よりも無駄を省くことが先決だと考えております。その上で、総理が言いましたように、民間ができることは民間に委ねる。パブリック・カンパニー、国営企業は、民業の補完に徹する。そしてコスト意識を持ってもらわなきゃ困りますね。最低のコストで政策を実現していってもらいたい。機関の合理化ということも必ずやってもらう。この3原則のもとに結論を出していかなければならないと思っております。そのため、内閣府の中に政策金融改革準備室を設置して、経済財政諮問会議とともにこの問題について検討していかなければなりません。

 また、競輪・競艇、オートレース、地方競馬、いわゆるギャンブル法人、こういうものもあります。こちらは集中改革期間、すなわち平成18年の3月31日までにどうするか決める。地方の市町村の方に話を聞くと、競馬にしても競艇にしても、競輪にしても、オートレースにしても、もう娯楽が多様化しましたので、全然儲からないというんです。もともと何で刑法の特例でギャンブル法人が認められているかというと、そこで上がったテラ銭を市町村とか都道府県が皆さん方に還元して、昔、日本が貧しかったころ、それを使って復興を図ったり財政の足しにするという意味だったんです。ところが今は逆にお荷物になってきちゃっている。そういうものをどうするか。こういうことを決めていかなくちゃいけない。

 また、皆さん方もう1つ関心があるのは空港だと思います。国交省の案は、空港の会計を成田と中部と関空一つにしちゃう。道路の様なプール制です。それで、儲かっているのは成田ですから、それで関空を助けてやれという案です。これも平成14年中に結論を出すことになっています。

 そして、もうあと1つ関心があるのが、道路です。道路公団、本四架橋公団、首都高、阪高、この四つをどう民営化するということを決めてもらういわゆる第三者機関、民営化推進委員会をつくります。

 それと、昨年決めたこの整理合理化計画どおり役所がやっているかどうか監視することが大切です。役所に任してますと、勝手に文言をいいように解釈して、全然違うものをつくったりしますので、そういうものをフォローアップしてもらう第三者機関というものもつくっていかなければならない。

 高速道路について言えば、1972年に高速道路のプール制というのが導入された。1本1本の線ごとであるならば、東名高速は今ごろタダなんです。でも、道路はどこかで繋がってます。全国ネットだから、儲かっているところも儲かってないところも一緒にして全体で採算がとれればいいというのがプール制の考えなわけです。このプール制に基づく償還主義のもとで、公団の財務状況がはっきりしない。行革担当大臣を仰せつかっている私も、本当のところは分からないんですよ。いくら言っても、細かい情報を出さないわけです。国鉄再建の例を見るまでもなく、内部の詳しい情報というのは、なかなか外から伺い知ることができない。最近、やっと、公団の内部告発が出てきて、採算性を全く度外視しているとか、もう実は公団は97年に破綻しているんだみたいな意見が出てきました。「まだまだ余裕があるから、もっと道路を造るんだ」と言う人もいますけれども、今言いましたように「97年で破綻しているんだ」と言う方も出てきた。やはり、財務状況をはっきりして、その上で、新規に投資をする力が民営化された会社にあるのかないのか、新規に投資する力があるとしたら、それを新規路線の建設に使うのか、あるいは料金の値下げに使うのか、その様なことについて、その後しっかりと話していかなければならないと私は思います。

 そろそろ時間で、結局、特殊法人の話だけしかできなかったんですけれども、規制改革、規制緩和ということも、この構造改革で重要だと思います。箸の上げ下ろしまで役所が出てきて「ああしろこうしろ」と言う。新しくビジネスをしようとする人たちに、これまでそこの縄張りで商売している人が「あいつは入ってきちゃだめだ」と障壁をつくる。これが規制です。「規制改革はすべきだ」ってみんな言うんですけれども、同時に「私のとこだけは勘弁してください」とも言う。これは世界各国同じです。特殊法人改革のように、抵抗勢力からの反対だけではなく、国内産業の競争力を得るためには、ある程度保護政策が必要だという意見は根強くあります。しかし私は、いつまでもそんなことを言ってたら、海外との競争に勝てないと思います。賃金が20分の1とかそういう人たちと競争しないと、製造業が空洞化していくわけです。それは非製造業でも同じだと思います。私は、1月に行革の先進国オーストラリアに行って、日本の公正取引委員会に当たる競争・消費者委員会のカズンズという委員長さんとお話しました。彼は、アメリカの経済学者のポーターの本を引用されて、こういうことを言っていました。「国内で自由な厳しい競争を行い、その競争にうち勝った者こそが、本当の意味で国際競争力をつけることができる」。当たり前ですね。そのためにはやっぱり規制改革というものは足を緩めてはいけません。特定産業に対する過度の保護政策は、むしろ産業の足腰を弱める結果になることが多い。これはもう皆さん方も目の前で見ているのではないでしょうか。ボーダレスな国際競争に否応なしにわが国が立ち向かわなければならない以上、官が民を規制し、保護していくという時代は私は終わったと思います。民は民同士で自由に競争をさせる。官はその競争が公平に行われる様に厳しく監視する。いわば行司役に徹することが時代の要請になっているのではないかと思っております。

 その意味では、規制改革の重要性というものは、日に日に高まっています。その期待の重さというものをひしひしと実感しております。

 最後に、もう一つだけお話をさせていただいて話を結ばせていただきたいと思います。よく「小泉改革はスピードが遅い」と言われます。でも、遅くないんです。例えば、イギリスで最初にサッチャーさんが出てきたのは1979年。第2次サッチャー政権が発足したのが1983年。サッチャー内閣の頃は、もっと労働組合も強かったし、それまで労働党政権が続いていましたので、労働党政権が強くて、パブリック・カンパニーばかりだった。産業界も電力も全部そうです。鉄道も全部そうだった。そこで日本の特殊法人の整理合理化計画に当たるような民営化案を考えた。その案、ネクストステップという最終報告書を書き終わるまで5年かかっているんです。小泉内閣は、8か月でそれをまとめて、今年、法律を通そうとしています。ですから、スピードは遅くない。むしろ順調に来ているのではないかと思っております。その意味で、法律を通す今年が非常に重要です。

 そんな中、今日は、特殊法人の話、規制改革の話をしてまいりましたけれども、やはり国民の皆さん、また今日こうして政治大学院で学ばれているオピニオン・リーダーの皆さん方が、この改革に関心を持ち続けていただきたい。この路線は、どんな内閣であろうとも、もう後戻りすることはできない。後戻りしたらこの国がおかしくなる。もう12年間停滞してきた。確かに、景気循環も山あり谷ありありました。しかし、この根本的な問題を解決しないで未来に、あるいは一歩先に駒を進めることができないことは、もう一目瞭然です。ですから、引き続いてこの路線を堅持させていただきたい。今日の話を聞いていただいてご理解をいただいた皆様方には、1人でも多くの方々にこの改革の意味というものをお話しいただきますようにお願い申し上げまして、私の講演を締めくくらせていただきたいと思います。ご静聴ありがとうございました。(拍手)