スタッフブログ

2020.01.24

外国人児童への教育の充足にむけて

 12月講座二限のディスカッションでは、教育に焦点が当てられた。私はとりわけ英語教育について自身の考えを述べたが、ディスカッションで多くの方の意見を聞いた今、当日のレジュメによれば③の「増加する外国人児童等への教育の在り方」について論じようと思う。
 約一年前の平成30年12月入管法が改正され、平成31年4月より施行された。改正の詳細やその是非は割愛するが、これによってより多くの外国人が日本に観光で訪れやすく、労働しやすくなった。外国人技能実習生にかかる問題など労働問題としても大きなテーマが噴出しているが、外国人が増えることは、その子が増えることも当然に想定されるところであって、教育的側面でも大きなテーマである。
 令和元年5月から6月に文科省が行った調査によれば、不就学の可能性がある外国人児童の数は全国で1万9,654人にも上る。全外国人児童数が11万4,214人であるから、約17%が不就学状態と言える。一方日本人児童の就学率はほぼ100%である。この差はなんであろうか。考えるに、外国人には日本国憲法26条「教育を受ける権利」「教育を受けさせる義務」が保障されていないからであると考える。条文の始めの「全ての国民」に外国人は含まれていない。行政としても、就学促進は職務とはなっておらず、先の調査では約半数の自治体のみしか、就学希望の有無に関わらず、就学に関する説明を行っていないとの回答が出ている。
もちろん、「全ての国民」に外国人を含めれば良いという乱暴な論を展開するつもりはない。しかしある程度こちらから招くだけ招いて、その支援をしないというのもいささか問題である。また言語的な課題=日本語支援が出来ない、財政的な課題=言語スタッフを雇えない、など行政としてもなかなかこの二点についてクリアすることが難しい。では、具体的にはどのような策をとったら良いのか。先の改正入管法始め、政府主導によるところが大きく、現場にそのしわ寄せが来ているという見方ができるのではないだろうか。その観点からすれば、政府が地方自治体に具体的策を示すべきであると考える。間接的にでも、また長期的に予算をつけることができれば、少なくとも財政的な課題で頭を抱える自治体は減りそうである。
 ディスカッションにおいては、ある方が、某市では50カ国以上の方が暮らしていることを言っておられた。私も街で外国人を見かけない日はない。そんな市井に暮らす我々も外国人が身近な存在になったことを肌感覚で知っている。またある人が「外国人が日本語を話せるようになれば、GDPも引き上がるのではないか」と言っておられたが、私もその通りであると思う。外国人に限った話ではないが、「子供の教育は、親の責任」などという体質、つまり行政がより積極的にならない状況がこのまま続けば、最終的には日本の損失に直結する事態を招くと感じた。

【参考文献】
文部科学省 
外国人の子供の教育の更なる充実に向けた就学状況等調査の実施及び調査結果(速報値)について https://www.mext.go.jp/content/1421568_001.pdf


2020.01.23

第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を通して「活力のある地域社会」をどのように実現するかの検討
-兵庫県明石市の事例を参考にして-

 本レポートは、前内閣府特命担当大臣である片山さつき先生の講義をもとに、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を通して「活力のある地域社会」をどう実現することが出来るかを兵庫県明石市の事例をもとに出産・子育てという観点から考えるものである。第2期総合戦略において、基本目標として(1)稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする、(2)地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる、(3)結婚・出産・子育ての希望をかなえる、(4)ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくるの4事項をあげている。これにより、東京一極集中の是正を促進して、活力のある地域社会を実現させようとしている。本レポートでは(3)の出産・子育てに焦点を当てたものとする。

 はじめに、明石市を事例としてあげる理由を述べる。湯浅ほか(2019)よると、同市は13年と18年の住民票の比較において、0~4歳人口増加で全国市町村5位を獲得している。従来、この年齢層を増加させるには(1)都心至近で家族向けマンションがある、(2)ニュータウン開発が継続されている、(3)過疎化が進んだ山間地や離島であったが、同市はこれらには分類されることなく他の地域でも再現性のある政策を取っている。具体的な方針としては、(1)子供を産むことで分かりやすい経済的なインセンティブを与える、(2)安定的で持続可能なまちづくりのため納税者を増やすの2点である。同市は分かりやすいインセンティブとして、2人目以降の保育料、子育て施設利用及び医療費を無料にした。同時に、近隣の神戸市などより比較的住居費が低いことも発信した。特記すべきは、潜在的に移住する層を定め、教育熱心であろう家庭のために、駅前の一等地に従来の面積の4倍の図書館をつくり、本の貸し出し年間300万冊という目標を掲げてアピールを行った。結果、0~4歳人口を増加させるには不利な状況で、全国5位を獲得したのである。

 日本は、急速に人口が減少しており、社人研の推計によると2060年には約9,300万人になるとされており、早急な対策が必要である。本レポートでは、一見すると出産・子育てには不利な地域でも、周囲の市町村との比較優位性を理解して、ユニークな政策を発信すれば人口減少に歯止めをかけ、活力のある地域社会を実現出来る可能性を示した。(1042字)

参考文献

湯浅誠 2019年 「子供が増えた! 明石市人口増・税収増の自治体経営」 光文社新書13-70ページ.


2020.01.23

題  「関係人口」施策と展望

 片山さつき先生の講義を聞き、「第二期まち・ひと・しごと創生総合戦略」の施策に挙げられていた「関係人口」に関する考察を以下に記す。
 総務省によれば(※1)、「関係人口」とは、「移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のこと」を指す。「その地域にルーツがある者」「ふるさと納税をした者」「これから関わりを持とうとする者」など、様々な形で地域に接点を持つ「観光客以上/定住住民未満」のあらゆる人を指す概念である。
 この「関係人口」について、ローカルジャーナリストの田中輝美氏は(※2)、「日本全体の人口が減る中で、地方自治体間が定住人口という限られたパイの奪い合いを繰り広げることは、疲弊を生むだけであり、不毛」とした上で、多様な価値観や背景から関わる地域を選び、移住定住のようにそれを無理に1つに絞らない、現代のニーズに合った考え方であると指摘する。
 実際、何らかの理由により都市部でなく地方に接点を求める人も増えている。自治体から委嘱されて地域貢献活動を行う「地域おこし協力隊」の参加者は、スタートした2009年度の89人から、2018年度には5,359人まで増加している(※3)。
 筆者はこの「関係人口」の概念について、肯定的な立場である。関わる側が、いきなり移住を迫られるのではなく、自分なりの形で、肯定感を持ちながら地域との関わり方を考えるきっかけとなり、愛着や帰属意識を芽生えさせることもできる。地方との接点を欲するニーズの高まりに伴い、今後その重要性は増していくだろう。
 ただし、政策として実行する上では、施策の成否をどう位置付けるのか、今後しっかりと議論がなされるべきだ。総務省はこの関係人口施策にあたり、モデル事業として2018年度に30団体を採択、予算2.5億円を投入し、今年度は44団体/5.1億円と規模を拡大している。現状、採択された自治体は都市部でのイベント開催などに取り組んでいるが、「助成金がある前提」の施策となると、さもすれば次の予算獲得等のため、本来主役であるはずの消費者を置き去りにして、中央省庁への見栄えや目の前の実績を重視した施策が生まれやすくなってしまわないか。そうなれば、多様性を重視する概念から、中央向きの施策が生まれるという、本末転倒な事態に陥りかねないのではないかと懸念する。
 上記から、筆者はこの関係人口施策について、徒に定量的な指標(例:関係人口〇〇人増加)を設定することは、そぐわないと考える。今後、中長期的に続く有効な施策とするために、モデル事業として参画した自治体との意見交換等をさらに進め、施策自体の評価をどう判断していくべきか、議論を深める必要がある。

参考文献
※1 総務省「『関係人口』ポータルサイト」
   https://www.soumu.go.jp/kankeijinkou/
※2 田中輝美著「関係人口をつくる」(2017年/木楽舎)
※3 総務省HP
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/02gyosei08_03000066.html


2020.01.23

題 地方創生「稼ぐ地域づくりを目指して」

 「憲法と地方創生と教育」というテーマについて片山さつき参議院議員より講演をいただき、補助金に頼らない地方創生について考えてみました。
 地方の人口減少や衰退については、以前、増田寛也氏の書籍「地方消滅」が「2040年までに896の自治体が消滅する」と危機を訴え、反響を呼びました。東京一極集中にストップをかけ、地方の人口減少を増加に転じていくには地方の「雇用創出」しか方法はないと思います。その地域で多くの人が食べていけるだけの仕事が創られ、所得が増え続けることが必要条件です。
 現政権も問題意識を持っていますが、それを基本的に「補助金行政」で実現しようとしており、うまく機能していない感じがします。「雇用創出」のためには、地域の人たちが勤勉に働き、売れる商品・サービスをつくり出すしかありません。
 その中で注目されているのは、アメリカで多くの成功例があるPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ、公民連携)の取組で、政府・自治体の業務のマネジメントや、遊休資産の土地や建物の再開発について民間企業に委託する枠組みです。
 民間企業はその事業を通じて利益を上げる一方、政府や自治体は業務の効率化・低コスト化を図れたり賃料や税金を納めてもらえたりするので、ウィン・ウィンの関係ができるのです。地方での雇用創出は、人口のV字回復を可能にします。また、高齢者にとっては、働き続けられる仕事の存在自体が最大の福祉だと思います。
 今後、自治体が利益を出す、「稼ぐ地域づくり」を実現するためには以下の取組が必要ではないかと思います。
 ①政府から自治体へ「地方創生」の名目で注ぎ込まれる補助金を極力絞り込み、民間からの投資や低利融資などに切り替える。市町村・都道府県の首長は、住民の声を聞きつつ、民間と連携して「稼ぐ」ことのできる能力が一つの条件とする。②自治体が「商社」的な機能を持ったり、再開発事業を展開したりして「稼ぐ」ことを積極的に認める制度に改める。③「稼ぐ」ことのできた自治体が独自に住民税や法人住民税を減税できるようにする。それによって移住や企業移転を呼び込む。④地域内の民間の仕事がどれだけ創出されたか、かつ平均所得がどれだけ上がったかに連動して自治体の首長と職員の給料が決まるようにする。⑤自治体が財政破たんした場合、首長や幹部の責任を明確にする。
 このように自治体運営の中心に「稼ぐ」という考え方を導入し、補助金漬けではない「本当の地方創生」の方法が全国に広がれば、日本のGDPはこの30年間の停滞を脱することができるのではないかと思います。
 以上


2019.12.24

杉浦正健名誉学長とのディスカッションを通じて

 今回の、杉浦正健名誉学長とのディスカッションは「農地改革」というテーマでした。現在、農業の担い手不足により農地を耕作放棄地にしてしまう農家が出てきています。耕作放棄地によってもたらされている問題は、様々存在します。例として中山間部では、イノシシ・シカなどの野生動物が耕作放棄地を餌場にするようになり人間と野生動物の距離が縮まり周囲の農作物に被害が起きています。また、耕作放棄地に廃棄物を不法投棄する問題が最近後を絶ちません。この不法投棄により土壌汚染や環境へのダメージが大きくなり周囲の農地も耕作不能となってします。このほかにも、食料自給率の低下などの問題もあります。このように、耕作放棄地の問題は深刻で、国・地方自治体・民間が一体となって解決していかなければなりません。
 現在、民間企業で、農地バンクという耕作放棄地の地主と農業をやりたいという人間とをマッチングするサービスを行っている企業がありますが、扱っている土地は僅かで農業志望者とうまくマッチング出来ていないという問題が出てきています。私は、この背景にあると考える問題は、農家の土地への執着だと考えます。現在の農地は、飛び地に存在し周りには、他人の農地が存在している小面積での農業が日本の特色であります。だからこそ、土地での結びつきが強く古くからのコミュニティがあり信頼できるものにしか農地を渡せないという問題があると考えます。
 私は、そこで教育機関が耕作放棄地を農家から管理を任せてもらうというシステムを全国で普及できたらよいのではないかと考えました。この教育機関が行うことについて3つのメリットがあります。1つ目のメリットは、教育機関など幼稚園・小学校・中学校は、地域において地域住民において身近な公的機関であるため、農家の方との信頼関係も築きやすいためだからです。2つ目のメリットについては、子どもと農家の方との世代間交流につながるためです。子供と地域の方が学校の授業を通じてつながる事により、地域の防犯の向上、現在問題となっている独居高齢者の死に気づかないなどの問題解決につながっていく可能性があります。3つ目は、子供の「食育教育」の観点からです。これは、幼稚園の事例ですが、岐阜県の羽島市安足幼稚園では、園の給食を地域の農家から農地を借り子供たちと農業をしてできた野菜を給食にして完全な自給自足給食にしたところ廃棄給食がなくなり園のフードロス問題の解決につながったとの事でした。また、幼いうちから農業に親しみを持つことで次世代の農家が生まれるきっかけにもつながるため、教育機関が耕作放棄地を管理するのがよいと考えます。
 参考文献
     第1次産業ネット 農業専門求人サイト
        https://www.sangyo.net/contents/myagri/farmland-problem.html
     岐阜県 羽島市安足 幼稚園ホームページ
        http://ajikahoikuen.com/


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