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2019.12.24

題  教員の働き方改革と多様性を育む教育

 丹羽秀樹先生による講義を受講し、我が国の教育環境の実態等について、考察を記す。
 昨今は「働き方改革」の機運が高まり、教員の働き方についても取沙汰されることが多い。しかし講義でのご説明のとおりその実態は厳しく、我が国の教員は他国と比較しても労働時間が長い。OECDによれば(※1)、その実態と主な内訳は以下のとおり。
  ■中学校教員の一週間当たりの仕事時間 ※カッコ内は調査参加48か国平均
   一週間あたりの仕事時間    :56H(38.3H)
    うち、指導(授業)     :18H(20.3H)
       事務業務       :5.6H(2.7H)
       職能開発       :0.6H(2.0H)
      課外活動(部活動など):7.5H(1.9H)
 「事務」「課外活動」のウェイトが大きい一方、本来業務である「指導(授業)」や、技能を磨くための「職能開発」の時間は平均以下という、歪な構造になっている。
 また、我が国の教育制度は、教育の平等性や均質性に重きが置かれてきたが、めまぐるしいスピードでライフスタイルの多様化が進む昨今、子供に多様な価値観を育むことができる教育環境の構築も、今後の課題だろう。
 しかし上記の教員の実態と、社会変化のスピードを考えると、その対応を教員だけに求めることは、もはや現実的ではないと考える。であれば、教育現場と社会が連携を強め、各々で役割分担をした上で、多様性を育む教育環境を作っていくことが必要ではないだろうか。
 例えば、部活動の指導などは、地域の高齢者の中にも、担い手がいるかもしれないし、地域に根付く伝統技術や、最先端のテクノロジーの専門家に直接触れる機会が増えれば、自ずと子供にとって将来の選択肢も増える。
 また、現場へのテクノロジーの導入推進も不可欠だ。AIなどが導入されれば、事務負担も軽減でき、Skypeなどのアプリを使えば、物理的な制約を超えて、離島や過疎地域の子供への平等な教育の提供はもちろん、子供が「話を聞きたい」と思う人物と、オンラインで直接学びの場を作ることも、容易に実現できる。そのような技術を活かした仕組みを取り入れることで、子供たちの能動的な学び、多様な価値観にも繋がっていくのではないだろうか。
 かつて㈱ドワンゴで会長を務めた川上量生氏は、徴兵制ならぬ「徴教師制」なる仕組みを提案している(※2)。裁判員制度のように、教育とは関係のない分野の社会人が一定期間教師を務める、という提案である。一見すると突飛にも思えるが、社会全体で子供や教員の価値観を拡げていくという観点では、あながち否定されるものではないように感じる。
 「教育=教員のみが行うもの」という観念ではなく、適材適所で、社会全体で多様性を育む枠組みを構築していくことが、今後の教育行政では重要になるのではないだろうか。
参考文献
※1 国立教育政策研究所「OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2018報告書」
    http://www.nier.go.jp/kenkyukikaku/talis/index.html
※2 落合陽一著「日本進化論」(2019年/SB新書)


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