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2019.07.05

題:政治が拠り所とする正統性について

 今回の青山先生のお話の中で「ご自身が如何に議員になられたか」そして「選挙戦にほとんどお金がかかっていない」というお話がありました。これはとても驚きでした。
 まず、言わずもがな、選挙こそが現代の民主主義の根幹をなすシステムです。政治には必ず正統性が求められます。人々が政府の言うことを聞くのは、政府の統治に正統性があるからこそです。近代民主主義の正統性をめぐる理論はルソー以来、国民の委託、つまり社会契約に基づくものだとされています。
 社会契約の最たるものは「選挙」です。議会・政府は選挙を通して国民の信任を得たからこそ、統治への正当性があります。民意に沿わない統治を行った場合、主権者たる国民が政府・議会を変えること、つまり政権交代させる「制度的保証」=「選挙」があること、こそが民主主義の基盤であり正統性の根拠になります。逆に言うと選挙を経ない政府は統治への正統性がありません。(ただしあくまで「民主主義的な正統性」がないのであって、他の理論に基づく正統性はあります。例:王権神授説)
 一般的に選挙では、それぞれの選挙区の有権者から信任を得るつまり、正統性を得るわけですから、当選した議員がまず意識せねばならないのは自分の選挙区・支持組織の思い・利益を国政に伝え、彼らへ還元することになります。
 翻って国民の身として考えるに、自分たちの利益を代表する議員を送り出すためには、自分たちの利益をまとめる必要=組織化する必要があります。だからこそ、選挙には金がかかる、というのが定式でした。(いかに組織が重要かは、杉浦先生のお話の中でとても感じました。)
 今回、青山先生はSMSで選挙を戦ったとおっしゃられていました。また、全国を駆け回られたわけでもないと。青山先生の当選のされ方は、これまで組織力のなさが故に「埋もれてきた声」が発掘されてきた、ということかもしれません。つまり、今回の青山先生の当選は、既存の組織により届けられてきた利益に漏れている個人が50万人いるということなのかもしれません。これは個々人の意思がより直接的に=組織による利益集約を経ずに国政へ届いているという意味で、元来、理論的に最も正統な民主主義である直接民主主義に似た形態であるともいえるかと思います。
 ただ、課題点として、彼らは組織力がないがゆえに、それぞれのニーズ、求めるものがはっきりしません。つまり、逆を言えば、その基盤から選ばれた議員は、何に対して利益還元することが、つまり立脚する正当性は何かがはっきりとしないこと、が問題点になるでしょう。組織なきがゆえに、議員自身が意見集約を行う=組織化する力が必要になります。
 現在、旧来の組織選挙は既に相当崩れつつあります。
 これからの選挙の在り方、ひいては政府の国民に対する立脚の仕方(正統性)について、考える時かもしれません。


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