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2019.01.26

題: 日本の安全保障と国際経済

 杉浦正健名誉学長とのディスカッションにおいて、愛国心と日米同盟をテーマに論じた。その議論の中でトピックとして挙がった「日本の安全保障と国際経済」の在り方について論じたい。
 日本が戦後、急速な経済成長を遂げられたのは、日米安全保障体制のもと軍事費を極力抑えて、経済発展に集中することができたことは重要な共通認識であると考える。また、大国がひしめき地政学リスクの大きいこの東アジア地域において、日米安全保障条約における米国との同盟関係の恩恵を受けており、今後もその関係を維持していくことが好ましいと考える。一方、2017年の輸出相手国として第2位、輸入では第1位の中国との貿易金額が大きく、米国のみならず中国との貿易取引によって、我が国の経済が成り立っているのも事実である。
 上記を踏まえて、日本を取り巻く環境変化として“米中貿易戦争”は、経済活動のみならず安全保障上も注視しなければならない課題である。当日の議論において、HUAWEIのCFOがカナダで逮捕された件が話題になった。このような論点が出ると、多くの場合、安全保障上の観点から米国とのみ行動を共にするのか、または、中国との関係を重視するのかという二元論に陥ることが多いが、日本が置かれている外部環境や競争要因を考慮すれば、米国との関係を中心に据えながらも、多元的な関係を構築、維持していく必要があるのではなかろうか。
 参考になる事例として、2018年12月17日の日本経済新聞で、「EV充電規格、商機と危機」と題して、電気自動車(EV)向け急速充電規格「CHAdeMO」を取り上げ、日中共同で次世代規格を2020年に決めることに合意したことに対する論説記事が掲載されていた。CHAdeMOは東京電力や日産自動車が中心となって国際標準規格を目指している日本発の規格である一方、米独は別に「コンボ(Combined Charging System)」という規格を作り立ちはだかっている。但し、この記事によれば、日中が規格統一すれば世界シェアの9割超を獲得可能とのこと。加えて、この規格をVPP(仮想発電所)にも応用することでエネルギー政策への貢献も想定される。もっとも、中国は日本の技術・ノウハウの獲得という意図があるものの、CHAdeMO自体は開放済みで高度な技術ではないとの専門家の意見もある。
 日本は国土が狭く、資源にも乏しい。安全保障は米国と協調しつつ、自国本位の経済運営だけでは国際的に埋没してしまうので、常に機会とリスクを天秤にかけながらも、固定観念や二元論に縛られず、多元的な国際経済関係を構築していくのが活きる道ではないだろうか。

参照記事: 日本経済新聞(2018年12月17日)「経営の視点: EV充電規格、商機と危機」


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