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2018.11.22

官僚の中央集権志向の改革

 10月講座での杉浦正健名誉学長とのディスカッションを経て、とりわけ私が関心もったのは杉浦名誉学長のおっしゃった官僚が地方を見ていないというお言葉である。2010年に約1億2千万人であった日本の人口は、2050年には約9千7百万人になり、2100年には5千万人を割ると推計されている。また、若年層を中心に地方から大都市圏(主に東京圏)への人口移動が継続され、日本は大都市圏という限られた地域に人々が凝縮する「極点社会」を迎えることとなる。日本の状況に対して、現状の大きすぎる中央集権的国家機構から地方への権限委譲による持続可能な地域社会創りが必要と私は考える。官僚による国家運営の是正が地方創生の1つの切り口である。本レポートでは、官僚が何故中央集権志向へ向かうのか、そしてその是正を考察する。
 1点目は官僚制度の歴史的背景がある。戦前、官僚は天皇の官僚であった。近世社会の幕藩体制が改められ、全国から優秀な頭脳を持った人材が選抜されて国家大元帥の天皇の官僚として国家運営を司る権限を付与された。官僚は歴史を考慮の上で国家を支える矜持を維持しつつ、国防、外交等の業務へ注力し、地方のことは地方の人々で決める役割分担が歴史への挑戦である。2点目は、政治家との関係である。すなわち、政治家は選挙対応に追われ不安定な立場になりがちでありどうしても官僚頼みとなってしまう。選挙については民主主義国家としての政治家が背負う宿命であるが、選挙活動にばかり時間を割かれ政策論議の出来ない現況に問題意識を持たなければならないし、官僚に軽視されないように日々勉強しなければならない。官僚側にしても、国民に選ばれた政治家の良きサポート役となる意識が必要である。3点目は、日本人の国民性がお上による統治に慣れてしまっている点にある。封建時代の階層、明治期以降の上からの近代化路線によってお上の言うことに従順な気質の日本人は、権力者からしてみては統治し易い国民であると考える。日本人一人ひとりの政治参画への啓発も民主主義国家としての発展条件だが、官僚が日本人の特性を理解した上で、業務を行う一言で言えば人間力の向上が必要である。
 これまで見てきたように、官僚主義が中央集権へ向かう背景には、官僚と国民、政治家との関係性もあり、一概に官僚側にのみ原因があるものではない。官僚主義の是正の為には、国民の政治意識の向上、政治家の政策・立法能力の向上、そして官僚のヒューマンスキルの向上が求められる。そして、地方創生の為、官僚が国家を支える業務を担いつつ、地方に権限を委譲して地方のことは地方で決めるための国づくりをする覚悟が日本人に必要である。
【参照】増田寛也/地方消滅/中央公論新社/2014年/1~2頁、32頁 


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