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2018.11.09

題   第四次産業革命を我が国がリードするために

 甘利明先生のご講演は、現在進行形の第四次産業革命の主戦場における熾烈な覇権争いを巡り、我が国が如何にして主導権を握るかということを真摯に検討させられる大変有意義な機会であった。AI、ビッグデータ等の第四次産業革命の主戦場における勝負の行方は我が国安全保障環境に直結する中身でもあり、甘利先生の仰るデジタル革命の第2ラウンドを制するための我が国の取るべき方策について、私見を整理しておく。
 その前に何故、甘利先生の仰るデジタル革命の第1ラウンドでは我が国は敗北を喫したか。それは、大局的には、我が国がデジタル革命のルールメーカーになれなかったからである。具体的には、今日の世界を席巻するオペレーティングシステム(OS)は米国を初めとする海外産であり、そのOSを用いないとワークしない専用のアプリケーションを媒体とする電子商取引が今日のビジネスモデルの国際標準となったからである。
 では、IoT、AI、ビッグデータ等が主戦場となる第2ラウンドでは我が国は如何に挽回すべきか。まずは国産OSを世界標準とすることである。東京大学の坂村健教授が開発を進めてきた国産OS「トロン」が現在の我が国IoT分野では6割超の市場占有率を占めるが、このたび、米国電気電子学会の標準規格として認定されるところである。国産OSが世界標準となり、我が国がIoT、AI分野での開発主導権を握ることに私も期待を寄せている。ビッグデータ分野では関係官庁及び関係民間事業者の協力が不可欠である。ビッグデータは、各事業者に多岐にわたって散在するデータを集約し、統合したシステムとして構築して初めて活用されるからである。もちろん、何層にもわたりリダンダンシーを確保すべきである。特に甘利先生よりご指摘のあった医療・介護分野のビッグデータについては、世界に先駆けて超高齢社会を迎える我が国がデータを確実に保全し、使用許諾の在り方を含めて国際社会との取引に向けたルール作りを行わねばならない。加えて国内的には、デジタル革命における共通の脅威であるサイバー攻撃に向けた対策の検討が急務である。
 戦争が国際法違反となった戦後、国際競争の主戦場は経済、技術等の分野へと移行した。この点、戦後、我が国は先達が努力して国際社会への復帰を遂げ、経済・技術大国として国際社会へのプレゼンスを有したが、失われた20年とともにデジタル革命では米国及び中国と比して遅れを取る結果となった。したがって、足元では金融政策及び経済政策に加えて、働き方改革を進め、根本的な労働生産性の向上も急がねばならず、並行して、これらにより蓄積した基礎体力を基に次なる主戦場の分析とヒト、モノ、カネの戦略的投資を継続することが肝要である。また、関係の国際機関にも人的派遣を積極的に行い、情報交換と我が国主張のための環境を醸成していくことも重要である。以上のことを指摘して、本稿の結論とする。

【参照】
YOMIURI ONLINE:
https://www.yomiuri.co.jp/feature/quarterly/20180426-OYT8T50034.html


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