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2018.11.05

題  死刑制度は何の為に存在するのか

 平成30年7月、オウム真理教の一連の事件で死刑が確定していた13人の刑が執行されました。教団に対する強制捜査から23年余りが経ち、ようやく刑事事件としては一区切りつきましたが、被害に遭われたご遺族の気持ちは言葉では言い尽くせません。当時、私は小学生でしたが、連日テレビで報道される地下鉄サリン事件のインパクトは今でも記憶しています。
 今回、杉浦正健名誉学長を交えたディスカッションを行い、死刑廃止問題とは何かと深く考える1日になりました。現在、国際社会の大きな流れは死刑廃止であり、国際NGOアムネスティによれば、2017年末の時点で、全犯罪に対して死刑を廃止した国は106ヶ国、執行を停止した事実上の死刑撤廃国も含めれば142ヶ国にのぼります。これは国連加盟国の3分の2を優に超えるものとなっています。先進国ではこの傾向は顕著であり、OECD参加の35ヶ国の中で、死刑制度をもつ国は、アメリカ合衆国、大韓民国、そして我が国日本のみです。
 死刑制度を支持する人たちは、「死刑があればそれを恐れて凶悪犯が減少する」という抑止力を述べていますが、死刑を廃止したフランスの統計を見ても廃止前後で殺人発生率は変わっていません。今後、死刑制度廃止を考えるにあたり、日本の未来を考え制度設計をしなければなりません。
 2020年、東京オリンピック・パラリンピックが開催され、我が国日本は今後加速度的にグローバル化が進むと考えられます。多くの外国人が日本に訪れ、様々な文化を持つ方々と共に仕事をする日が訪れます。死刑制度廃止の流れが国際社会の主流となっており、国際社会から、日本との付き合い方を改めさせられる日が来るかもしれません。
 例えば「犯罪人引渡し条約」があります。これは国外に逃亡した容疑者の引き渡しに関する国際条約ですが、日本はアメリカ合衆国と大韓民国の2ヶ国のみ条約を結んでいます。他国は自国民が死刑に処されるリスクがあるため、死刑制度を持つ日本と条約を結びません。フランスは96ヶ国と条約を結んでおり、日本が国際社会から孤立していると言っても過言ではありません。今後、来日外国人が増える中で、日本で罪を犯した外国人が母国へ帰国し、逮捕することが出来ないなど弊害も生じるでしょう。死刑制度は何の為に存在するのか。我々日本人が未来を見据え、しっかりと考えなくてはなりません。杉浦正健名誉学長のお話を聴き、死刑制度維持を考えていた私は、まさに井の中の蛙であったと改めて気付かされました。

<参考文献>
杉浦正健 『あの戦争は何だったのか』東京:文藝春秋、2014、p191-p194

<参考URL>
公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
「人権について学ぶ.世界の人権問題(トピック).死刑廃止」
http://www.amnesty.or.jp/human-rights/topic/death_penalty/ (参照2018-9-6)


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